コンテンツマーケティングのKPIとは?成果指標の決め方をフェーズごとに徹底解説!

コンテンツマーケティングは事業成功の重要な要素ですが、その効果を正確に把握し、最適化するためにはKPIの設定が不可欠です。

本記事では、どのようにKPIを決定し、それを利用してビジネス戦略を導き出すのか、具体的に解説します。

フェーズごとのKPIの設定方法、データの集計と分析の時間配分、集客と顧客獲得の役割分担など、コンテンツマーケティングの最適な運用体制を築くための重要なポイントを理解しましょう。

これらの知識を用いて、より効果的なコンテンツマーケティングの実現を目指してください。

目次

コンテンツマーケティングのKPIとは

コンテンツマーケティングは企業が自社の製品やサービスについて、顧客に有益で魅力的なコンテンツを提供し、顧客関係を構築または深化するための手法です。その効果を数値で評価するための指標がKPI(Key Performance Indicator)です。

しかし、単にKPIを設定するだけではなく、その背後にある目的を理解し、適切なKPIを設定することが重要です。それには、KPIとKGI(Key Goal Indicator)の違いを理解し、長期的な計画をもとに設定する必要があります。

KPIとKGIの違い

KPIとは「重要業績評価指標」のことで、目標達成に向けた進行度や成果を測定するための指標です。一方、KGIとは「重要目標達成指標」のことで、ビジネスで最終的に達成すべき目標そのものを示します。

たとえば、コンテンツマーケティングのKGIが「新規顧客の獲得」であるとすれば、そのためのKPIは「Webサイトの訪問者数」や「資料のダウンロード数」など、目標達成に寄与する具体的な指標が考えられます。

KGI・KPIは長期的な計画をもとに設定

KGIとKPIを設定する際には、企業のビジネス戦略や長期的な計画をもとにすることが重要です。

たとえば、企業の長期的なビジネス目標が「新規顧客の獲得」であれば、それを達成するためのKGIは「デジタルマーケティングによる新規顧客の獲得」、KPIは「ブログ記事のPV数」や「資料ダウンロード数」などになるでしょう。

また、これらの数値は定期的に確認し、必要に応じて改善策を考えることで、目標達成に繋げていきます。

コンテンツマーケティングでKPIを設定するポイント

コンテンツマーケティングの効果を明確に示すためには、適切なKPIを設定することが重要です。しかし、適切なKPIを設定するためには、何を指標とすべきか、またそのための具体的なステップをどうするのかなどの検討が必要となります。

ここでは、既存のコンテンツの整理、顧客のフェーズとコンテンツの紐づけ、KPIになる指標の理解、そしてKPIツリーの作成について、具体的に説明します。

既存コンテンツの種類や役割を整理する

まずは手元にあるコンテンツの種類とその役割を整理しましょう。ブログ記事、動画、インフォグラフィックなど、インターネット上には多種多様なコンテンツがあります。

それぞれが顧客にどのような価値を提供し、ビジネスにどのように寄与するかを理解することで、各コンテンツに対して適切なKPIを設定できるのです。

自社で整理することが難しい場合には、広告運用代行会社などに相談することも1つの選択肢でしょう。

顧客のフェーズとコンテンツを紐づける

次に、顧客の購入フェーズ(認知、検討、決定、購入、維持・育成)と各コンテンツがどのように関連するかを理解することが重要です。

それぞれのフェーズに対応するコンテンツを明確にすることで、顧客が必要とする情報を的確に提供することが可能になります。この仕組みを理解しておくことで、より具体的で効果的なKPIを設定できます。

KPIになる指標を理解する

適切なKPIを設定するためには、それぞれの指標が何を示し、どのような意味を持つのかを理解することが必要です。

たとえば、Webサイトの訪問者数は認知度を、直帰率はコンテンツの魅力を、コンバージョン率は成果への影響力を示します。各指標の意味を理解し、それらがビジネス目標にどのように寄与するかを考えることで、適切なKPIを設定できます。

KPIツリーを作成して全体像を把握する

最後に、これまでに設定したKPIをまとめ、KPIツリーを作成しましょう。KPIツリーとは、最終的なビジネス目標から逆算し、目標達成のための具体的なステップとそのKPIを階層的にまとめたものです。

KPIツリーを作成することで、全体の流れを把握し、どのKPIがどのように目標達成に寄与するのかが明確になります。これにより、各KPIに対する改善策の優先順位を決定し、効率的なマーケティング活動を行えます。

新規顧客を獲得するときのKPI

新規顧客を獲得するためのコンテンツマーケティングは一筋縄ではいかないものです。ここでは、新規顧客獲得に特化したKPIについて詳しく掘り下げます。

それぞれのKPIが何を示し、どのように効果測定すべきか、それに基づいてどのような施策を考えるべきなのかについて、具体例とともに解説します。

記事投稿数

記事投稿数は、事業者が提供するコンテンツの総量を示す基本的な指標です。新規顧客を獲得するためには、定期的に高品質なコンテンツを作り出すことが求められます。

しかし、記事投稿数が少ないと、検索エンジンにとってサイトの価値が低く見えてしまいます。その結果、検索ランキングが下がり、新規顧客の流入を大きく制限してしまう可能性があるのです。

そこで、以下のKPIを設定し、適切に管理することで、コンテンツマーケティング戦略が新規顧客獲得にどれだけ貢献しているかを確認することができます。

それぞれのKPIに対して施策を実施し、改善していくことで、結果的に新規顧客の獲得を増やせるでしょう。

PV(ページビュー)数

PV数はページの閲覧回数のことで、Webサイトがどれだけ閲覧されているかを示す重要な指標です。PV数が高ければ高いほど、それはより多くの新規顧客がコンテンツにアクセスしていることを意味します。

リード(見込み客)を増やすためにも、SEO対策を強化し、TwitterやInstagramといったSNSやインターネット上で情報を積極的に発信することで、PV数を上昇させる必要があるのです。

セッション数

セッション数はユーザーがWebサイトを訪問した回数を示します。一人のユーザーが何度も訪れることもあるため、これが高いほど、コンテンツに興味を持った新規顧客の流入が多いといえます。

ユーザーが何度も訪れたくなるような魅力的なコンテンツを作ることが、セッション数を上げるためのカギとなります。

UU(ユニークユーザー)数

UU数は特定の期間内にWebサイトを訪れたユーザー数を示します。これが高いほど、より多くの新規顧客を獲得しているといえます。広範な配信を行いつつ、各ユーザーのニーズや興味に応じたパーソナライズを施すことが重要となります。

スクロール率

スクロール率は訪問者がページをどの程度読み進めたかを示す指標です。高いスクロール率は、コンテンツがユーザーにとって価値があることを示しています。

コンテンツの質を向上させることで、ユーザーがページを下までスクロールしてくれる可能性が高まります。

滞在時間

滞在時間は訪問者がWebサイトで過ごした時間を示します。滞在時間が長ければ長いほど、訪問者がそのコンテンツに深く関心を持っているといえます。逆に、滞在時間が短いと、それはコンテンツが訪問者の期待に応えていない可能性を示します。

キラーコンテンツへの遷移率

キラーコンテンツへの遷移率は、訪問者が主要なコンテンツ(キラーコンテンツ)へどれだけ移動したかを示します。

この数値が高いほど、新規顧客が重要な価値提案に触れる機会が増え、ブランドや商品への理解が深まります。

再訪率

再訪率は訪問者が複数回サイトを訪れている割合を示します。再訪率が高ければ高いほど、コンテンツが訪問者にとって価値があるといえます。

コンテンツの更新頻度や質を維持し、訪問者に有益な情報を提供し続けることで、再訪率を向上できるでしょう。

SNSシェア数

SNSシェア数はコンテンツがSNS上でどれだけ共有されたかを示します。これが多ければ多いほど、新規顧客に対する露出が増え、ブランド認知度が上がります。

コンテンツがシェアに値するほどの価値を持つように工夫することで、この数値を上げられるのです。

問い合わせ数

問い合わせ数は新規顧客獲得の最終ステージを示す指標です。問い合わせ数が多ければ多いほど、新規顧客の獲得が進んでいることを示します。

問い合わせフォームの設置場所やデザインの改良、そしてCTA(Call To Action:行動喚起)の工夫などにより、問い合わせ数を増やせます。

既存顧客を育成するときのKPI

既存顧客の育成は、ブランドロイヤリティの構築やリピート購入の促進といった意味で、ビジネスにとって重要なステップとなります。しかし、どのようにして顧客を育成するかは定量的に把握する必要があります。

ここでは、既存顧客を育成する際に重要となるKPIについて深掘りし、それぞれの指標が何を意味し、どのように活用するべきかを解説します。

エンゲージメント率

エンゲージメント率は顧客がコンテンツとどれだけ深く関わっているかを示す指標です。

これには、記事の「いいね!」数、コメント数、シェア数などが含まれます。高いエンゲージメント率は、顧客がWebサイト上のコンテンツやブランドに深く関与していることを示し、これは強いブランドロイヤリティにつながります。

エンゲージメント率を高めるためには、読者との対話を促すようなコンテンツ作りや、シェアしやすいコンテンツを提供することが求められます。

回遊率

回遊率は訪問者がWebサイト内でどれだけ多くのページを見て回ったかを示します。これは、訪問者がWebサイト上のコンテンツに引きつけられ、さらに詳しく知りたいと感じている証です。

回遊率を高めるためには、関連コンテンツへのリンク設置や、一貫したコンテンツ体験の提供が有効です。

リテンション率

リテンション率は、週間や月間といった一定期間内に自社のホームページに再訪したユーザーの割合を示します。この指標が高いと、顧客がコンテンツを価値があると認識し、定期的に訪れているといえます。

これは強い顧客ロイヤルティと直接関連し、リピート購入にもつながります。リテンション率を向上させるには、顧客の関心を維持する新鮮で有益なコンテンツの提供や、メールマーケティングによる再訪誘導などが考えられます。

コンテンツマーケティングのKPI設定後の運用

一度KPIを設定したら、それをただ見て満足するだけではなく、適切な運用により持続的な成果を生み出すことが重要です。

では、具体的にはどのように運用すればよいのでしょうか。以下では、コンテンツマーケティングのKPI設定後の運用に必要なステップを2つ、具体的に解説します。

頻度を決めて分析する

KPIの分析は定期的に行うことが大切です。これには、日々、週ごと、月ごとといった一定の頻度でデータをチェックし、トレンドやパターンを見つけることが含まれます。

たとえば、特定の日にPV数が急増した場合は、その日に投稿したコンテンツがユーザーに受け入れられたといえます。これにより、効果的なコンテンツの特徴を見つける手がかりとなります。

課題を抽出し解決に向けた施策を設定する

分析から抽出した課題に対して解決策を設定します。たとえば、エンゲージメント率が低いという課題があれば、ユーザーが参加しやすい形のコンテンツ(アンケートやクイズなど)を提供してみる、といった施策が考えられます。

ここで大切なのは、施策の効果を評価し、必要な調整を行うことです。そして、これらのプロセスを定期的に繰り返すことで、コンテンツマーケティングの効果を最大化することが可能となります。

オウンドメディア(コンテツSEO)運用におけるKPIの設定例

オウンドメディアを運用していく過程は大きく分けて3つのフェーズ、「立ち上げ期」、「運用安定期」、「活用期」に分けられます。

それぞれのフェーズで注目すべきKPIが異なりますので、フェーズごとに適したKPIを理解し、戦略的に設定していきましょう。

立ち上げ期

立ち上げ期とは、オウンドメディアの構築から運用開始して1年以内の期間を指します。この段階では、「集客力」に注目したKPIを設定することが重要です。

具体的な指標としては、「検索順位」や「ファインダビリティスコア(見つけやすさの指標)」、「ページビュー(PV)数/ユニークユーザー(UU)数(新規)」、「メールマガジンなどでの反応率(開封・クリック率など)」、「ソーシャルでのシェア数」などがあります。

このフェーズでは、まだ少ない閲覧者に対して価値あるコンテンツを提供し、サイトに魅力を感じてもらうことが目指すべきゴールとなります。

運用安定期

運用安定期とは、立ち上げから1年以上経過し、一定の集客力が確保できた段階を指します。このフェーズでは「閲覧力」や「誘導力」に注目したKPIを設定し直すことが求められます。

具体的な指標としては、「再訪率」、「滞在時間」、「スクロール率」、「キラーコンテンツへの遷移率/回遊率」などがあります。

このフェーズでは、ユーザーが自社のコンテンツをより深く理解し、関連コンテンツへと導かれる経験を提供することが目指すべき目標となります。

活用期

活用期とは、オウンドメディアの運用が安定し、メディア流入が安定した段階を指します。このフェーズでは最終的なKGIである「コンバージョン(CV)数」に焦点を当てます。

「コンバージョン数」はサイト種別によって異なりますが、BtoC向けのサイトであれば「会員登録」やEコマースにおける「購買」、BtoB向けのサイトなら「メールマガジン登録」「ホワイトペーパーダウンロード」「セミナー申込」などが主な指標となります。

ただし、コンバージョンを追求するあまり、コンテンツが販売色に傾き過ぎることは避け、ユーザーが自然に行動したいと感じるような「文脈」を重視することが重要です。

オウンドメディア運用体制についての注意点

オウンドメディアを運用するうえでの体制や管理の仕方は、成果を最大化するための鍵となります。

KPIやKGIの設定、分析時間の配分、担当者の役割分担など、さまざまな視点から運用体制を見直すことで、より効果的なコンテンツマーケティングを行えます。以下で、オウンドメディア運用体制についての注意点を3つ紹介します。

フェーズごとにKPI・KGIは柔軟に設定する

事業のフェーズや目標によっては、KPI・KGIの設定を変える必要があります。初期フェーズ(立ち上げ期)ではブランド認知度向上を目指し、訪問数やページビューをKPIとするかもしれません。

一方で、成熟期(活用期)では売上増加を目指し、CV数や収益をKPIとするかもしれません。柔軟な設定は、適切な成果指標を適用し、必要な戦略変更を行うために重要です。

集計や分析に時間をかけすぎない

データ分析は重要ですが、それに時間をかけすぎると、ほかの重要な業務が疎かになる可能性があります。円滑なサイト運営のためにも、自動化ツールを活用することで、定期的なデータの計測や集計、分析の時間を短縮できます。

また、重要なKPIに焦点を絞ることで、効率的な分析が可能になります。分析結果は即座に行動に移し、実際の運用にフィードバックすることが大切です。

集客と顧客獲得は担当をわけるのが理想

集客と顧客獲得は、それぞれ異なるスキルと知識を必要とします。それらを一人が担当すると、どちらかが疎かになる可能性があります。

担当者を分けることで、各領域の専門家がそれぞれの業務に集中し、全体の効率と成果の向上につながるのです。これにより、一貫した顧客体験を提供し、長期的な顧客関係を築くことができます。

事業のフェーズに応じてKPIを適切に設定しよう

コンテンツマーケティングの成功には、適切なKPIの設定が不可欠です。事業のフェーズに応じてKPIやKGIを柔軟に設定し、初期フェーズではブランド認知度向上を、成熟期では売上増加を目指すことが大切です。

また、データの集計や分析は重要ですが、時間を適切に管理し、自動化ツールを用いることで業務効率化を図りましょう。

さらに、集客と顧客獲得はそれぞれ異なるスキルを要するため、担当者を分けることで全体の効率と成果を向上させ、一貫した顧客体験の提供を目指しましょう。

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