WEBサイトの住所ともいえるhttpから始まるURLのドメイン。安易に変更してしまうと、SEOに影響を及ぼすことをご存じですか?
「現在使っているドメインよりもわかりやすい名前にしたい」
「ようやく使いたかったドメイン名が取得できる」
などの理由で、ドメイン変更に踏み出す企業やマーケターは多いのではないでしょうか。
しかし正しい手順を踏まないと、GoogleによるWEBサイトの評価や検索エンジンの順位が低下する可能性があります。
そこで本記事では、サイトのドメイン変更におけるSEOへの影響と、SEO評価を維持するための設定方法をお伝えしていきます。
ドメイン変更によるSEO的な影響やリスクは?
WEBサイトのドメイン変更は慎重に行わなければなりません。なぜなら、Googleの評価のようなSEOリスクがあるためです。
まずは、ドメイン変更がSEOに与える影響やリスクに焦点を当て、注意すべきポイントを解説していきます。
ドメインエイジがリセットされる
一般的に検索エンジンは、WEBサイトのドメインの存在期間や活動履歴などを考慮して、その信頼性やランキングを判断します。
このドメインが持つ過去の実績を表した言葉が「ドメインエイジ」。
しかしドメインを変更すると、検索エンジンは新ドメインをまったく新しいものとして扱います。その結果、従来のドメインで積み上げた信頼性やSEOの効果が一時的に失われる危険性があるのです。
そのため、新しいドメインは「今までの歴史・信頼性=ドメインエイジ」をゼロからスタートし、検索エンジンから再評価されるには時間がかかることを覚えておいてください。
外部リンクが無効になる
ドメイン名変更を行うと、設定している外部リンクが無効になる可能性があります。
旧ドメインと新ドメインが異なるURLであるため、外部のWEBサイトや検索エンジンが新しいドメインを見つけられないのです。
外部リンクが無効になると、ホームページや記事コンテンツの持つドメインパワーが一時的に下がり、過去に上位掲載されていたサイトも新ドメインではランクダウンすることがあるでしょう。
ユーザビリティを損なう可能性がある
ドメイン名変更後、外部のWEBサイトや検索エンジンは新ドメインへのリンクを更新するまでに時間がかかる場合があります。
その結果、ユーザーは検索結果や外部リンクをクリックしても、想像していたページにたどり着けなくなるのです。
「not found」「404error」のようなエラーページに遭遇し、サイトが移転したことを知らずにクリックしたユーザーが、サイトそのものに不信感を抱いてしまう恐れもあるでしょう。
またユーザーだけでなく、市場におけるブランド評価や認知低下にもつながりかねません。
SNSのシェアはリセットされる
WEBページのURLが変更されると、SNSシェアボタンのカウントがリセットされます。
過去のドメインに紐づいたシェア情報は新しいドメインでは反映されず、WEB上でせっかく拡散された実績はゼロになってしまうでしょう。
これはマーケティング視点では大打撃です。なぜなら、旧ドメインでシェアされた投稿やリンクが新ドメインでは無効になり、ユーザーが旧ドメインをクリックしてもエラーページに誘導されるためです。
その結果、せっかく流入してきた見込客の離脱率が高まる可能性もあります。
ドメイン変更の検討タイミングとメリット
サイトドメインの変更にはデメリットが伴いますが、もちろんメリットもあります。
変更ポイントを理解しておくことで、サイト移管を行う際に発生するリスクを最小限に留めることが可能です。そこで、サイト運営者やブログ運用者は、どのようなタイミングでドメイン変更を検討すべきかを見ていきましょう。
サービス名や社名の変更
マーケティング戦略の一環としてドメイン変更をするケースがあります。
サービス名や社名変更に伴うドメイン変更は、既存の顧客や新規顧客に対して鮮明な印象を与えることができます。
より魅力的で覚えやすい綴りを選ぶことで、ブランド認知度や顧客獲得に寄与することができるかもしれません。
また商標侵害の可能性や、類似した名前を使用する他社との混同を避けるために、社名や商品名の変更を行うこともあります。その際にも、関連するドメイン変更が必要です。
独自ドメインへの移行
レンタルサーバーのドメインから独自ドメインに移行するケースも大いにあるでしょう。
独自ドメインは、会社や個人のプロフェッショナルなイメージを構築するのに役立ちます。
無料のWEBホスティングサービスやサブドメインを使用している場合と比べて、独自ドメインは信頼性を高め、企業ブランドイメージ向上にも寄与します。
また、検索エンジン最適化の観点から、独自ドメインに変更するケースもあるのではないでしょうか。
一般的に独自ドメインは検索エンジンにとって信頼されており、上位掲載される可能性が高いです。そのため、SEO対策の一環としてドメイン変更する企業は多く存在します。
SEO的な評価を維持したままドメイン変更する手順
冒頭でお伝えしたとおり、ドメイン変更はSEOに影響するリスクがあります。
同じ企業によるドメイン変更であっても、過去に検索エンジンから評価されていた実績やデータがそのまま移行されるわけではありません。
そのため、これから紹介する適切なSTEPを踏んで、検索エンジンの評価を下げないようにしましょう。
旧ドメインのURLリストを作成する
まずは、旧ドメインのすべてのURLをリストアップしてください。
具体的には、WEBサイトのすべてのページ、記事、製品ページなどがあるでしょう。
ページ | 旧URL | 新URL |
---|---|---|
TOP | https://domainhenkou.com | https://newdomainhenkou.co.jp |
会社概要 | https://domainhenkou.com/company/ | https://newdomainhenkou.co.jp/company/ |
資料ダウンロード | https://domainhenkou.com/download/ | https://newdomainhenkou.co.jp/download/ |
作成する際には旧ドメインのサイトマップ、Google アナリティクスやほかのSEOツール利用もおすすめです。
新規ドメインのサイトを準備する
続いて、新しいドメインのWEBサイトを準備します。準備する内容は次のようなものが一般的です。
- 新しいドメインのホスティング環境のセットアップ
- WEBサイトのデザイン構築
- コンテンツ移行
しっかり準備して、旧ドメインのサイトと同等またはそれ以上のコンテンツを提供するように設計しましょう。
またサイトリニューアルに伴うドメイン名の変更は、自社だけの問題ではありません。
ランディングページや商品ページのドメイン変更によって、広告審査で落ちてしまう事例が多数発生しています。
広告運用を代理店やメディアが行っている場合は、必ず事前に連携しましょう。
リダイレクトを設定する
忘れてはいけないのが、旧ドメインのすべてのURLを新しいドメインにリダイレクトすることです。
301リダイレクトを使用し、各旧ドメインのURLを対応する新ドメインのURLにリダイレクトしましょう。
その結果ユーザーが旧ドメインにアクセスした際に、新ドメインのページに自動的に転送されるようになります。
Google Search Consoleでアドレスを変更する
リダイレクトを設定したら「Google Search Console」にログインし、サイトアドレス変更の通知を設定してください。
古いドメインから新しいドメインへの変更を正しく認識させる通知機能を活用し、新しいドメインの所有権も忘れずに確認しましょう。
サイトマップを送信する
最後に新しいドメインのサイトマップを作成して「Google Search Console」に送信しましょう。
Google Search Consoleとは、WEBサイトの所有者や管理者がGoogleの検索エンジンに関する情報を監視し、最適化するための無料サービスです。以前は「Google ウェブマスター ツール」として知られていました。
新しいサイトマップをGoogle Search Consoleに送信することで、Googleが新しいドメインのWEBページをクロールし、インデックスの追加が行われます。
正確なサイトマップをGoogleに提供し、新しいドメインのページを適切に評価してもらいましょう。
ドメイン変更するときの注意点
ドメイン変更はインターネット上の収益拡大だけでなく、企業統合やサービス変更に伴って行われる重要な処理の一つです。
しかし繰り返しお伝えしているとおり、変更プロセスを適切に実行しなければ、トラフィックや重要なキーワードで検索結果に表示されないなどの悪影響につながります。
ここではドメイン変更時の注意点について解説しますので、しっかりチェックしてください。
新サイトの内部リンクを更新する
ドメイン変更後、新しく制作したサイトの内部リンクを忘れずに更新しましょう。
更新を忘れてしまうと、アクセスしたユーザーが正しいページに遷移できなくなります。
そのためにも、すべての内部リンクを確認し、変更後のドメインをしっかり修正しましょう。
新サイトのSSL化を済ませておく
新サイトのセキュリティは、旧サイトから自動的に引き継がれるわけではありません。
安全を確保するためにはしっかりSSL化を実施してください。SSL証明書を取得し、新ドメインに適用することでWEBサイトの信頼性が向上し、ユーザーのプライバシー保護も確保できます。
リダイレクトはページごとに設定する
旧ドメインから新ドメインへのリダイレクトを設定することで、ユーザーが正しいページに自動的にアクセスできます。
重要なのは、各テーマのページごとに適切なリダイレクトを設定することです。一括入稿ではなく、必ずページごとに301リダイレクトを設定しましょう。
リダイレクトチェーンを発生させない
ドメイン変更の工数削減を目的としたリダイレクトチェーンは避けるべきです。
リダイレクトチェーンとはWEBサーバーへのアクセスに対して、最終的なコンテンツにたどり着くまでに301や302のリダイレクトを複数繰り返す状態のこと。
つまり、AページからBページ、そしてCページへのリダイレクトといった連鎖状のリダイレクトを発生させないようにするのです。
結果、パフォーマンス低下やクローラーの混乱を防ぐことができるでしょう。
旧サイト各ページ内にcanonicalタグを設置する
旧サイトの各ページ内にcanonicalタグを設置することで、検索エンジンに対して新ドメインへの移行を伝達することができます。
canonicalタグとは、コンテンツが類似または重複しているページURLを正しく機能させるためのHTMLタグのこと。
そのためcanonicalタグ設置を怠ると、検索エンジンが新ドメインのコンテンツを正しくインデックスできなくなります。忘れずに対応してくださいね。
一時的にトラフィックが減少することがある
ドメイン変更後は一時的にトラフィックの減少が起こりやすいのですが、これはどのようなサイトでも起こりうる事象です。
検索エンジンが新ドメインをインデックスするまでのタイムラグや、旧ドメインへのリンクが更新されるまで時間がかかることが要因です。
その場合は焦らずに新ドメインのSEO対策を継続し、トラフィックの回復を待ちましょう。実際にデータ分析することで、ドメイン変更の前と後で、検索エンジンに与えた影響を確かめることができます。
分析結果より適切なSEO対策を講じることで、アクセス数は徐々に改善していきます。
ドメイン変更後に実施したいポイント
ドメイン変更後、すぐにでも記事やブログといったコンテンツのSEO対策に乗り出したくなるでしょう。
しかしその前に、ホームページやブログといったサイトの円滑な運営を続けるために重要なポイントがあります。
ここでは2つのポイントについてお伝えしますので、しっかりチェックしてください。
新サイトがインデックスされているか確認する
ドメイン変更後は、新ドメインが検索エンジンにインデックスされているかを確認してください。
具体的な手法としては、検索結果ページで新ドメインのURLが正しく表示されるか、または「Google Search Console」などのツールを使用して、インデックス状況を確認するなどがおすすめです。
インデックスが適切に行われていることが確認できれば、検索エンジンからのトラフィックを確保することができます。
できる範囲で外部リンクの更新
ドメイン変更後には外部サイトからのリンクも更新しましょう。
可能な範囲で外部リンクの変更を実施すれば、リンクジュース(リンク元ページからリンク先ページへ検索エンジンの評価価値が渡される流れ)を維持することができます。
その結果、新ドメインの信憑性や権威性も向上します。特に重要な外部リンクについては、リンク元のWEBサイト管理者と連絡を取り、新ドメインへの変更を依頼しましょう。
ドメイン変更に関するよくある質問
WEBサイトを運営していると、ドメイン変更を検討するマーケターやブロガーは多いのではないでしょうか。
最後に、ドメイン変更に伴う代表的なQ&Aを2つ紹介します。
301リダイレクトと302リダイレクトの違いは?
一言でいうと、301リダイレクトは「恒久的にURLを転送する」ことに対し、302リダイレクトは「一時的なURLの転送」を意味します。
リダイレクト自体は「.htaccessファイル」に記述することで設定可能ですが、ほかにも次のような違いがあります。
これを機に覚えておいて損はないでしょう。
301リダイレクト
- リクエストしたWEBページが完全に新しいURLに移動したことを示す
- 検索エンジンは301リダイレクトを受け取ると、旧URLの検索結果を新URLに置き換える
- ブラウザは一度転送したら旧URLにアクセスする代わりに新URLに自動的に転送する
302リダイレクト
- リクエストしたWEBページが一時的に別のURLに転送されることを示す
- 検索エンジンは302リダイレクトを受け取ると旧URLの検索結果を保持する
- ブラウザは次回以降も旧URLにアクセスすることがある
リダイレクト解除のタイミングは?
リダイレクトが解除される時期は、サイトとページの状況によって異なります。
数日で解除されるものもあれば、数週間から長ければ1年ほどかかるケースもあります。そのため、できる限り長くリダイレクトは継続することが望ましいですね。
Google検索においては、最低1年は解除しない方がよいでしょう。
ドメイン変更の費用はどれくらいかかる?
ドメイン変更の費用は、変更するドメイン登録業者やサービスプロバイダー、またはWEBホスティングサービスなどによって異なります。
平均的な金額としては、非営利組織や国際組織で使用できる「.org」でなければ1円程度で登録できるところが多いでしょう。
その後にかかる更新費用は1,000円~5,000円程度です。例えば「お名前.com」でドメインを取得したあと、wordpress.comで作成したサイトにそのドメインをマッピングさせることもできます。
登録業者は多岐にわたるため、各サイトで価格を参考にしてください。
例
お名前.com
ムームードメイン
Xserverドメイン
ドメイン変更は手順とポイントを押さえて実行しよう
サービスやブランド変更の際に、ドメイン変更を行うケースはあるでしょう。
独自ドメインを設定していた方が、サイトそのものの評価も上がります。とはいえドメイン変更を安易に実行すると、SEOの評価が下がりアクセス数が減少し、ビジネスに悪影響を及ぼすこともあります。
本記事で紹介したポイントをしっかり押さえ、ユーザーエクスペリエンスやSEOに影響を与えないよう適切なドメイン変更を行ってください。