CVR(コンバージョン率)は、オンラインビジネスの成功につながる要素の1つです。
サイトへの訪問者がアクションを起こす確率を示すこの指標は、ビジネスの成果を大きく左右します。
しかし、実際にCVRを効果的に向上させるための方法は多岐にわたり、どの方法が自社のビジネスに適しているのか迷うことも多いでしょう。
本記事では、CVR改善のための最も効果的な手法を、具体的な施策とともに解説します。
CVR(コンバージョン率)改善は売上インパクトが大きい
CVR(コンバージョン率)の向上は、ビジネスの成功にとって非常に重要です。CVRの数字が示すのは、自社のサイトがどれだけ効率的に顧客にアクションを起こさせられるか、という点です。
ここでは、CVRの基本的な意味から、その改善によって獲得できる効果について詳しく解説します。
そもそもCVRとは
CVR(コンバージョン率)とは、デジタルマーケティングの世界で非常に重要な役割を果たす指標の1つです。
具体的には、WebサイトやLP(ランディングページ)への訪問者のうち、どれだけが特定のアクション(例:商品購入、資料ダウンロード、問い合わせなど)を完了したかを示す率を指します。
この数値が高いと、Webサイトやキャンペーンのパフォーマンスが良好であると評価されるのです。
CVRの向上は、高いROI(投資対効果)を目標とする企業やマーケターにとって、避けては通れない課題となっています。
CVRの計算方法と目安
CVRの計算は実にシンプルで、「CVR = (コンバージョン件数 / 訪問者数) x 100 」という公式で求められます。100人がサイトを訪問し、10人が商品を購入した場合、CVRは10%となります。
しかし、目指すCVRは業界や商品、サービスの種類によって異なるため、一概にどれくらいの数値ならばよいとはいえません。
例えば、高額商品の販売や特定のBtoBサービスで平均2〜5%のCVRを達成することは、非常に高い実績と評価されます。
CVR改善の施策は即効性がある
CVRを向上させるための施策は、多くの場合、ほかのマーケティング手法よりも短期間での成果が期待できます。というのも、これらの施策は既にサイトを訪問している、つまりある程度興味を持っているユーザーをターゲットとしているからです。
したがって、LP(ランディングページ)のデザインを見直したり、CTA(コールトゥアクション)ボタンの位置や色を調整したりするだけで、大きな変化をもたらすことがよくあります。
また、ユーザーからのフィードバックを取り入れることで、更なる改善の方向性を探ることも可能です。
小さな改善で大きな効果がでる
CVRの最適化には、大掛かりなサイトのリニューアルや莫大な広告費をかける必要はありません。
実際、細部の改善、例えばフォームの入力項目をシンプルにする、ボタンの色や文言を使うユーザーに合わせて変更するなどの小さなステップが、結果として大きな効果を生み出すことが多いのです。
このような微調整を繰り返し行いながら、ユーザーのニーズや行動を観察することで、最適なコンバージョン率を目指せるでしょう。
CVRを分析する方法
CVRの向上を目指すためには、まず現状のCVRを正確に理解する必要があります。そのためのキーとなるのが「分析」です。
分析する方法や角度によって、隠れた課題や改善点を発見できる可能性が高まります。ここでは、効果的なCVR分析の方法を4つの視点から詳しく解説します。
ページの種類別に分析
Webサイト内にはさまざまな種類のページが存在します。LP(ランディングページ)、商品ページ、ブログ記事、お問い合わせフォームなど、それぞれのページは異なる目的を持ち、訪問者の行動も大きく異なっています。
したがって、ページの種類ごとにCVRを分析することで、どのページが最も効果的であるか、またどのページに課題があるのかを明確にすることが可能です。
例えば、商品ページのCVRが高いのに対して、ブログ記事からのコンバージョンが低い場合、ブログ記事の内容やデザイン、リンクの配置などを見直すことが求められます。
逆に、ブログ記事のCVRが高ければ、その成功要因をほかのページにも適用することで、全体のパフォーマンス向上を目指せるでしょう。
CVポイントごとに分析
サイト内でのコンバージョンは、いくつかのアクションポイント、いわゆる「コンバージョンポイント(CVポイント)」で測定されます。
ユーザーが購入ボタンをクリックする、メールアドレスを入力する、資料をダウンロードするなどのアクションポイントが、目的のアクションを完了させるために重要なのです。
CVポイントごとのCVR分析を行うことで、どのアクションが効果的であり、どのアクションで改善が必要かを明確にできます。
特定のCVポイントでユーザーが離脱している場合、その要因を探り、ユーザビリティや内容の最適化を図ることが求められるでしょう。
ユーザー属性ごとに分析
CVRはユーザーの属性によっても大きく変動することも珍しくありません。年齢、性別、趣味、居住地域など、これらの属性ごとにユーザーの反応や行動パターンは異なります。
例えば、20代の女性と50代の男性では、同じ商品に対する興味や購入意欲が大きく異なることが考えられます。
ユーザー属性ごとのCVR分析を行うことで、どの属性のユーザーに焦点を当てるべきか、またどの属性のユーザーのニーズをより深く掘り下げるべきかの方向性を得られるのです。
時系列で計測
サイトのCVRは季節や時期によっても大きく変動することがあります。特定のイベントやセール期間中、または年末年始など、特定の時期にユーザーの行動が活発化することが一般的です。
時系列でのCVR計測を実施することで、その変動のパターンや周期を捉え、将来的なマーケティング施策の参考にできます。これにより、効果的なタイミングで的確なプロモーションやキャンペーンを展開することが可能となるのです。
CVRを改善できる施策
CVRは、サイトの収益性や効果を測定するうえで欠かせない指標です。CVRを向上させることで、同じ流入数でも高い成果につなげられます。
ここでは、効果的なCVR改善の施策を深掘りし、それぞれの施策がどのように売上へのインパクトをもたらすのかを解説します。
サイト流入の質を改善
質の高いトラフィック(流入)はCVRの向上につながります。具体的には、ターゲットとするユーザーセグメントやキーワードの絞り込み、流入元の最適化などが考えられます。
アクセス解析ツールを運用して、どのトラフィックソース(到達経路)が最もコンバージョンに寄与しているのかを特定し、そのソースの流入を増やす施策を実施しましょう。
さらに、検索エンジン最適化(SEO)や、リスティング広告(検索連動型広告)、ディスプレイ広告、SNS広告を含むPPC広告(クリック報酬型広告)などの戦略の見直しも流入の質を高めるための手段です。
顧客との関係性を深めるためのコンテンツ作成やSNSでの積極的な情報発信も、質の高い流入を引き寄せる有効な手段です。
ランディングページの最適化
LP(ランディングページ)は、CVR向上にとって重要なポイントです。ページのデザイン、コンテンツ、CTAの配置など、ユーザーが求める情報を的確に伝え、行動を促す要素が必要です。
A/Bテスト(複数のものを比較するテスト)を用いて、デザインやコンテンツのバージョンごとのパフォーマンスを測定し、最も効果的なバージョンを常時公開することで、CVRを向上できます。
また、動画やインフォグラフィックスの導入、ユーザーレビューやテスティモニアル(推奨意見)の表示も、信頼感を高めてコンバージョンを促すための方法として有効です。
エントリーフォームの最適化
エントリーフォームは、ユーザーの情報を収集するための重要なポイントです。
入力項目の数や種類、フォームのデザインや位置など、ユーザビリティの向上を図ることで、フォームのコンバージョン率を高めるEFO(エントリーフォーム最適化)につながります。
不要な入力項目の削除や、入力のヒントの表示など、ユーザーの負担を軽減する施策が効果的です。
また、モバイル最適化、リアルタイムでのエラーチェック機能の追加、確認画面の導入など、ユーザーエクスペリエンスを考慮した変更もエントリーフォームのコンバージョン向上に役立ちます。
CVまでの導線の改善
ユーザーがサイトに訪れてからコンバージョンまでの流れをスムーズにすることが重要です。
導線を明確にし、ユーザーが求める情報やアクションへのボタンを適切な位置に配置することで、CVRの向上を図れます。
サイト内のリンクやナビゲーションの整理、必要な情報の強調表示はもちろん、ユーザーが迷わず目的のページや情報に到達できるよう、パンくずリスト(Breadcrumb List:サイトのページ階層をリスト化したナビゲーション)の導入やFAQの整備も有効です。
また、ユーザーフィードバックを活用して、サイト内での迷子状態を解消するアプローチを行うこともおすすめです。
ユーザー離脱の要素を排除
ページの読み込み速度の遅さ、不要なポップアップの表示、複雑なナビゲーションなど、ユーザーの離脱を引き起こす要素を排除することで、CVRを向上できます。
特に、モバイルユーザーに対する最適化や、サイトの安全性の向上は、ユーザー離脱の減少に大きく寄与します。
加えて、404エラーページの最適化や、ユーザーフレンドリーなエラーメッセージの表示も、離脱を防ぐうえで効果的です。ユーザーのサイト内行動をトラッキング(追跡)することで、離脱の原因となる要素を特定し、それを改善することも大切なのです。
CVのハードルを下げる
ユーザーがコンバージョンを達成するためのハードルを下げることも重要です。
例えば、購入プロセスの簡素化、情報入力の最小化、ゲストチェックアウト(登録アカウントなしでの注文)の導入など、ユーザーが行動を起こしやすい環境を作ることで、CVRの向上が期待できます。
さらに、分かりやすいガイダンスの提供、支払い方法の多様化、明確な返品・交換ポリシーの表示も、ユーザーが安心してアクションを取るためのサポートとなるでしょう。
CTAの出現回数を上げる
CTA(Call to Action)は、ユーザーの行動を促すボタンやリンクとして機能します。CTAの位置やデザイン、文言を最適化し、ページ内での出現回数を増やすことで、ユーザーの行動の促進とCVRの向上を図れます。
その際は、ユーザーの目線を考慮し、過度なCTAの配置は避けるよう心がけましょう。また、CTAの色やサイズもテストを行いながら、最もクリック率(CTR)の高いものを設置するのも効果的です。
CVポイントを増やす
ユーザーがコンバージョンを達成できるポイントを増やすことで、CVRの向上が期待できます。
例えば、チェックアウトページに加えて、商品ページやブログ記事などにも購入ボタンや問い合わせボタンを配置するなどの施策が考えられます。
さらに、関連商品やサービスを紹介するセクションを設けることで、ユーザーの興味を引き留め、追加のコンバージョンポイントを作成することも可能です。
エラー要素の排除
サイト内のリンク切れや表示エラー、フォームの送信エラーなど、ユーザーの離脱を引き起こすエラー要素を排除することで、CVRを向上できます。
定期的なサイトの監視やテストを行い、エラー要素を早急に修正することが必要です。
特に404エラーページは、ユーザーフレンドリーなデザインや適切なリダイレクトを設定することで、訪問者の興味を維持し、ほかのページへの導線を提供することが可能です。
CVRが低下する原因
CVRは、ビジネスの売上や成功に大きな影響を与える要因の1つです。そのCVRが低下すると、企業の収益に悪影響を及ぼす可能性が高まります。
しかし、CVRが低下する背景にはさまざまな要因が存在します。以下、主な原因とそれぞれの詳細な背景を掘り下げてみましょう。
外部環境の変化
ビジネスの外部環境の変動は、CVRに大きく影響することがあります。例えば、不景気や新たな競合の登場、ターゲット市場の変化などが考えられます。
また、季節性や流行の変動、さらには政策や法制度の変更もCVRに影響を与える要因となり得ます。
このようなさまざまな外部の変動に柔軟に対応できるように、CVRの低下を防ぐための策を考える必要があります。
UI/UX・サイト構造が悪い
サイトのUI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)が不十分だと、訪問者の滞在時間が短くなり、CVRの低下を引き起こします。
使いにくいサイト構造、情報が見つけにくいデザイン、過度なポップアップや遅いページの読み込み速度などが主な要因です。
サイトの訪問者が求める情報や機能に迅速にアクセスできるよう、定期的にサイトのUI/UXを見直し、最適化を進めることが重要です。
広告との不一致
広告やキャンペーンの内容と、実際のサイトや商品ページが一致しないと、ユーザーは混乱しやすくなります。これはCVRの低下に直結します。
例えば、広告で特定の割引やキャンペーンを強調しているのに、サイト内でその内容が見当たらない場合、信頼性が失われ、ユーザーの離脱が進む可能性が高まります。
広告の内容とサイト内の情報が一致するよう、きちんと整合性を保つことが不可欠です。
CV完了までのストレス
ユーザーがコンバージョンを達成するまでにストレスや障壁を感じる場合、CVRの低下は避けられません。購入プロセスの複雑さ、情報入力の多さ、わかりにくい説明文、不明確な価格表示などがその原因として挙げられます。
ユーザーがスムーズに操作でき、疑問や不安を感じることなくコンバージョンを完了できる環境を整えることが、CVRの向上につながります。
CVRの改善に活用できるツール
CVRを確実に向上させるためには、データに基づいた意思決定が欠かせません。そのために役立つのが、さまざまなツールたちです。
ここでは、CVR改善のための主要なツールと、それぞれの特徴や活用方法を詳しく解説します。
アクセス解析ツール
アクセス解析ツールは、Webサイトやアプリケーションの訪問者の動きや行動を詳細に捉えるためのツールです。
例えば、Google AnalyticsやAdobe Analyticsなどが有名です。これらのツールを使用することで、訪問者の流入元や滞在時間、ページビュー数などの基本的なデータから、購入あるいは離脱までの流れや、どのページで離脱したかという情報まで把握できます。
これらの情報をもとに、サイトのどの部分がコンバージョンのボトルネックとなっているのかを特定し、改善策を立案できます。
A/Bテストツール
A/Bテストツールは、Webサイトの異なるバージョンをランダムに訪問者に表示し、どちらのバージョンがよりよいパフォーマンスを持っているかをテストするツールで、OptimizelyやVWOなどが代表的です。
具体的には、例えばボタンの色やCTAの文言、レイアウトの変更など、微細な変更を2つのバージョンでテストします。
結果として、どちらのバージョンがより多くのコンバージョンを生み出すかをデータベースで判断し、サイトの最適化を進められるのです。
以下の記事ではABテストのやり方からおすすめのツールまで解説していますので、参考にしてください。
ヒートマップ
ヒートマップは、Webサイトのページ上でユーザーがどの部分をクリックしたか、マウスの動きがどのようであったか、スクロールの深さはどれくらいかなど、ユーザーの行動を視覚的に解析するツールです。
Crazy EggやHotjarが該当します。ヒートマップのデータを分析することで、ユーザーが興味を持っているエリアや無視しているエリアを特定でき、その情報をもとにUI/UXの最適化やコンテンツ改善のヒントを得られるでしょう。
CVR改善で売上にインパクトがでる施策を行おう
CVRの改善は、ビジネスの成長を加速させる重要なステップであり、ユーザーの行動をデータベースで分析し、サイトや広告の最適化を行うことが重要です。
アクセス解析やA/Bテスト、ヒートマップを利用して、ユーザーのニーズに応じた施策を実施することが、売上の大きなインパクトを生む勝ちパターンとなります。
自社のオンラインビジネスを成功させるためにも、継続的なCVR改善活動を行いましょう。