コンテンツマーケティングにとって最も大切な要素は「情報の信頼性と信ぴょう性」です。その信ぴょう性の高さを担保する手段として重要視されているのが専門家による記事監修。
では記事監修とはどういうもので、どのように取り組めばいいのでしょうか?
今回はコンテンツ作成に不可欠な「専門家による記事監修」の重要性について、その方法や注意点などを含め深掘り解説します。
専門家の記事監修とは?
記事監修は専門的な知識を持った人に記事を読んでもらい、内容が正確か、不適切な点や法的に問題となる箇所がないかなどを確認してもらうこと。
専門家に監修してもらうことで、記事内容の正確性や信ぴょう性が担保され、サイトへの集客力が高まります。
専門家に監修してもらう内容は主に次の3点。
- 情報の正確性
- 業界用語の使われ方
- 修正案の提供
それぞれ詳しく見てみましょう。
情報の正確性のチェック
「記事監修」で最も重要なチェックが情報の正確性です。
特に金融や法律、医療などの分野はインターネット上の情報だけを頼りに書くと間違えたり、古い情報を発信してしまい、ユーザーの財産や健康に害を与える危険があります。
そこで、情報が正確かどうかを専門家に監修してもらうことで、間違いのない信ぴょう性の高いコンテンツに仕上げることができるのです。
業界用語の使われ方の確認
また専門的な内容が含まれた記事には、専門用語やその解説文が書かれることが多くあります。
しかし業界外のライターや制作担当者には、業界用語の正しい意味や使い方が理解しにくいもの。
そのため、専門家に業界用語の使い方や解説内容に誤解や間違いがないかをチェックしてもらうことも、記事監修の重要な目的のひとつです。
修正案の提供
記事監修の結果、間違いや不正確な箇所、情報が足りない箇所などがあった場合、監修者から修正案を提供してもらうことができます。
単語や表現の間違いを修正する場合、その前後の文章、場合によっては記事全体に大きな影響が出る可能性があります。
監修者から文章や内容の修正案を提供してもらうことで、整合性のある記事に修正できるのです。
ただし、監修者との契約条件によっては修正案までは提出されない場合もあるので、監修を依頼するときに、監修範囲をどこまでとするかを確認しておきましょう。
専門家による記事監修の必要性
専門家による記事監修が求められるようになったのには、いくつかの理由があります。
ここからは、その背景や、いま求められる記事監修がどういうものかを解説します。
読者は信頼できる情報を求めている
かつてWebサイトはコンテンツの数が多いほどSEOの観点からは有利とされてきたため、不正確で信ぴょう性の低い記事が大量に出回るようになりました。
その結果、間違った医療情報がもとで事故が発生するなど、インターネット上の記事が原因とされるトラブルが増加。
こうした背景から読者は情報の信頼性を求めるようになり、その判断材料として専門家が監修しているかどうかが重要になってきたのです。
Googleは質の高い記事を評価している
Googleなどの検索エンジンも読者が安心できる情報を検索結果上位に表示するため、コンテンツの信頼性を高く評価するように判断基準を更新し続けています。
現在、Googleはコンテンツの品質を評価する指標として「E-E-A-T」を重要視しています。
「E-E-A-T」とは、以下の略で、これら4つの要素を備えたコンテンツが高く評価されます。
- E:Experience(経験)
- E:Expertise(専門性)
- A:Authoritativeness(権威性)
- T:Trustworthiness(信頼性)
専門家による監修記事はE-E-A-Tのすべてを満たすため、SEO対策として非常に有効な取り組みといえます。
特に記事監修が必要な分野
記事監修は、SEO対策としてジャンルを問わず有効ですが、特に記事監修が必要とされるのが「YMYL」と呼ばれるジャンルです。
「YMYL」はGoogleが定義したジャンル「Your Money or Your Life」の略で、人の幸福や健康、お金、人生に関わる分野を指します。
具体的には医療や金融、法律、健康、財産などで、これらに関連するコンテンツについては高い基準でのE-E-A-Tが求められるため、記事監修が必要となります。
記事監修の種類
記事監修の依頼方法には大きく2つのパターンがあります。
予算やスケジュールを考慮して、どちらにするかを検討するといいでしょう。
記事の執筆も専門家に依頼する
一つ目は、記事の執筆から監修までを一貫して専門家に任せるパターンです。
自社で構成や内容などを考える必要がなく、すべて専門家に任せられるため、完成度の高い記事が仕上がります。
しかし、一般的なライターに依頼するより原稿料が高くなるので注意が必要です。
執筆内容を専門家に確認してもらう
二つ目は、制作サイドで作成した記事を専門家に監修してもらうパターン。
費用も抑えられ、監修者も記事をチェックするだけなので少ない日程で済みます。また、自社で執筆するので、コンテンツの方向性や意図がズレることもありません。
ただし、専門的な内容をライター自身が調査して書かなければいけないため、執筆にはかなりの手間と時間がかかってしまうのが欠点です。
専門家の記事監修のメリット
ここまで記事監修がどういうものかについて解説してきました。
ここからは、専門家に記事を監修してもらうことで、どういうメリットや効果があるのかを見ていきましょう。
サイトの信頼性向上につながる
専門家による記事監修によって、正確で信ぴょう性が高いコンテンツを発信でき、Webサイト全体の信頼性が向上することが最大のメリットです。
専門家が記事をチェックすることで、情報の間違いや過不足をなくせるためコンテンツの質が高くなります。
読者も専門家監修の記事のほうが、どこの誰が書いたか分からない記事より信用できると判断します。
読者に信頼される質の高いコンテンツが掲載されていることで、サイト全体の信頼性向上につながるのです。
ブランディング・差別化につながる
信頼性の高いコンテンツは読者の満足度が高く、最後まで読んでもらえる「読了率」も高くなります。
満足度の高いサイトは多くのファンを作ることにつながり、企業のブランディングに大きく貢献します。
また読了率の高いコンテンツはSEOの観点からも高く評価されるのもメリットの一つ。
さらに、同じようなテーマで書かれたほかの記事と比べても、専門家の監修があるかないかで信頼性が大きく異なるため、競合サイトとの差別化にもつながります。
リスク回避効果がある
オウンドメディアで誤った情報を掲載してしまうと、運営している企業自体の社会的な信頼を大きく損なうことになります。
SNSで炎上したり、医学的根拠がない情報で薬機法に抵触したり、読者の財産に損害を与えたりなど、企業として取り返しのつかない事態を招きかねません。
専門家による監修では主に次のような項目がチェックされます。
- 情報に間違いがないか
- 内容に過不足がないか
- 誤解される表現がないか
これらの監修によって情報の正確性が保証され、サイトを運営する企業にとってのリスクを回避できるのです。
検索順位の上昇が期待できる
専門家が監修したコンテンツはSEO対策として非常に有効なため、検索順位を押し上げる効果もあります。
SEO対策として重要な取り組みは、質の高い信頼できるコンテンツを発信すること。「このコンテンツは質が高い」とGoogleが判断する重要な基準が、先述の「E-E-A-T」です。
専門家の記事監修は、まさにこのE-E-A-Tを高めるための最善の手段といえます。
また信頼性の高いコンテンツは読者の滞在する時間が長くなるため、Googleの評価も高く、検索結果の上位に表示されやすくなります。
専門家の記事監修のデメリット
多くのメリットがあるとはいえ、専門家の記事監修はいいことばかりではありません。
SEOの効果が高く、企業のブランディングにも役立つ一方で、デメリットもいくつか存在します。
専門家によっては費用が高額になる
最も大きなデメリットは費用がかかること。監修を依頼する専門家の実績や知名度によっては、監修費用がかなり高額になる場合があります。
テレビに出ていたり、数多くの書籍を出版したりしている著名人になると相当高い費用が必要です。
また専門家にどこまでを依頼するかによっても費用は異なります。
記事の監修だけを専門家に依頼する場合と、ライティングから監修まですべてを任せる場合とでは、費用は大きく違います。
さらに、外部の会社を介して監修依頼をする場合は、仲介手数料が必要なことも考慮しておきましょう。
時間がかかる
専門家は本業の合間を縫って監修の仕事をすることがほとんど。そのため、多くの場合、依頼者側が思っている以上に時間がかかります。
また監修者の予定や能力、記事の内容や文章量によっても必要な日数は異なるので注意が必要です。
監修のスケジュールにはある程度、余裕のある日数を考えておくようにしましょう。
専門家の監修でも追加チェックが必要
専門家に監修してもらったからといって、納品された記事をそのまま掲載するのは危険です。
監修後の情報が最新で正確なのかを、制作サイドでも確認しなければいけません。
専門家に執筆から監修まで一貫して依頼した場合も、参照元を確認するほか、言葉や表現が自社サイトの表現規定と合っているかのチェックも欠かせません。
また専門家が執筆した場合、内容や表現が専門的過ぎて文章が難解になるケースがよくあります。
内容が難しくなってしまうと読者離れにつながるため、分かりやすい文章になるように調整が必要です。
記事監修者の依頼方法
では、実際に記事監修者へはどういう方法で依頼すればいいのかを具体的に説明します。
主な依頼方法は3つ。
- 専門家に直接依頼
- 記事作成会社に依頼
- クラウドソーシングサービスを利用
それぞれ、詳しく紹介します。
専門家に直接依頼する
記事を監修してくれる専門家を、自社で探して直接依頼する方法です。
専門家と直接コミュニケーションが取れるため、制作サイドの細かい意向や要望が伝わりやすいのが最大のメリット。
また、仲介サービスを通さないため手数料などの費用を抑えることもできます。
デメリットとしては、コネやツテがなければコンテンツに適した専門家を探すのが難しいことと、報酬の交渉などの対応に手間がかかることです。
専門家を探すためには書籍やインターネットで該当する人物を見つけ出し、その人に直接電話したり、公式サイトやSNSなどを通じて問い合わせたりすることになります。
ただし、連絡がついてもスケジュールや報酬額の折り合いがつかずに断られるケースも多いため、実際に依頼できるまでかなり難航するでしょう。
記事作成会社に依頼する
手間をかけたくない場合には、記事作成を代行してくれる会社に依頼する方法があります。
記事作成会社は、さまざまな分野の記事監修者とコネクションを持っているため、ライティングと監修をワンストップで任せられるのが大きなメリットです。
記事作成費用と監修者への仲介手数料などが必要になりますが、制作者サイドの手間はほとんどなく、質の高い監修記事を得ることができるため、費用をかける価値はあるでしょう。
ただし、コンテンツの内容や読者ターゲット、サイトの方向性などを明確に伝えておかなければ、見当違いの原稿が仕上がってしまう危険性もあります。
クラウドソーシングサービスを利用する
自社で簡単に専門家を探すことができ、さらに費用も抑えられる方法がクラウドソーシングサービスの活用です。
いまは多くのクラウドソーシングサービスがあり、登録している監修者の業種も弁護士や司法書士、行政書士や不動産鑑定士などの士業のほか医師・看護師、ファイナンシャルプランナー(FP)やキャリアコンサルタント、保険アドバイザーなど多岐にわたっています。
また、監修者の実績やスキル、参考費用なども登録情報で確認できるうえ、クラウドソーシングサイトを通じて監修者と直接やりとりができるのも大きなメリットです。
ただし、登録されている情報は監修者が自分で書いているため、虚偽の経歴や実際以上に盛った経歴が書かれていることもあります。
依頼する前に、その人のクラウドソーシング上での口コミや受注履歴、自身のブログやSNSなどを確認しましょう。
また費用が抑えられるとはいえ、サービス利用の手数料は必要になります。
専門家に記事監修を依頼するときの費用相場
記事監修費用は依頼方法や内容、ボリュームなどによって異なりますが、おおむね10,000円〜50,000円が相場です。
自社で専門家を探して直接依頼すれば、少し費用を抑えられますが、かなりの手間がかかることになります。
記事作成代行やクラウドソーシングなどの外部サービスを利用すれば、手間が省け、時間も短縮できますが、その分の費用がかさみます。
予算とスケジュールを考慮して、何を誰に、どこまで外注するかを決定するといいでしょう。
ちなみに代表的なジャンルの費用相場は以下のとおり。
専門家 | 費用の相場 |
---|---|
弁護士や医師など | 30,000円~50,000円 |
税理士や公認会計士 | 15,000円〜50,000円 |
資格・免許が不要な専門家 | 10,000円〜30,000円 |
専門家に記事監修を依頼するときのポイント
実際に専門家に記事監修を依頼するにあたって注意すべきポイントを4つ紹介します。
依頼前にしっかりチェックをしておかなければ、監修記事の意味がないことになってしまうため注意が必要です。
監修者の情報をどこまで開示できるか
せっかく監修をしてもらっても、監修者がどういう人物かをアピールするためのプロフィールを公開できなければ信ぴょう性を保証できません。
依頼する際には、具体的にどこまで監修者の情報を開示していいのかを確かめておく必要があります。
開示したい項目は以下の7点です。
- 本名
- 勤務先/所属
- 肩書
- 保有する資格
- 専門分野
- 学歴/経歴
- 顔写真
できるだけ多く、細かく公開するほうが監修記事として信ぴょう性が高まります。
監修者の専門分野と実績
当たり前ですが、コンテンツの内容と監修者の専門分野や得意な領域が本当に合致しているかの確認も大切です。
ここがズレていると監修の意味が薄くなったり、最新の情報とは異なった内容で監修されている可能性もあります。
例えば、看護師の資格を持っていても、小児内科なのか外科なのか、大病院での経験があるのか開業医での経験なのかなどによって、知見が大きく違ってしまいます。
可能ならば過去にその専門家が監修した記事などをチェックするといいでしょう。
資格・経歴の信ぴょう性
専門家が開示している資格や経歴などが信用できるかどうかのチェックも忘れてはいけません。
特に自社で直接専門家に依頼する場合やクラウドソーシングサービスを利用する場合には、専門家の学歴や経歴、職歴、勤務先などに虚偽がないかの確認は必須です。
保有している資格や経歴に関しては、証明できる書類を提出してもらって確認すると安心です。
もし、コンテンツ公開後に監修者の経歴にウソがあることが判明してしまうと、サイトを運営している企業側の責任が問われることになるので、慎重に確認しください。
監修者のコミュニケーション能力
監修者本人と円滑なコミュニケーションがとれるかどうかも大切なポイント。
依頼するにあたっての要望や条件、コンテンツの内容や方針などを正確に伝えるためには、監修者と何度かコミュニケーションが必要になります。
その際にスムーズな意思疎通ができなければ、希望に合った成果物が得られない可能性もあります。
もし、監修者が自身でブログやSNSなどで情報を発信しているなら、どういう内容をどういう表現で発信しているのかをチェックしてみてください。
専門家監修を入れて記事の評価をあげよう
専門家に記事を監修してもらうことで、正確な情報を発信できるうえ、コンテンツの信ぴょう性や権威性が高まります。
その結果、サイト全体の信頼性が向上、読者満足度が高まり、SEOでも高い評価を得られるなど、いまや専門家監修はコンテンツマーケティングにとっては必要不可欠な取り組みとなっています。
さらに競合サイトとの差別化を図ることができ、企業のブランディングにも役立ちます。
手間や時間、費用がかかってしまいますが、それ以上の価値が得られるため、積極的に専門家監修を取り入れるようにしましょう。