スクリーンショット、略してスクショはパソコン・スマホに表示された画面を保存するうえで便利です。
ビジネスやプライベートなシーンでも役立つ機能ですが、この行為が法律に反する場合があります。
今回は、著作権の基本とスクショが違法行為にならないように守るべきポイントをご紹介します。
公式サイトのスクショを撮るのは著作権に触れる?
コンテンツ作成をするうえで、テーマによっては文章で紹介するよりも公式サイトの情報から引っ張ってくるほうが効率的な場合もあります。
ただし、次のポイントに注意しなければ違法行為となる場合があるので注意しましょう。
著作者の意思で公開されているコンテンツ
まず、スクショを行いたいコンテンツが著作者の許諾を得ていることを確認しましょう。
例えば、大手キッチン家電メーカーが企業の公式サイトやSNSで発信しているレシピと画像をそのまま掲載しているコンテンツがあったとします。このコンテンツの運営者はメーカーとは無関係なうえ、許可なくスクショを掲載している場合、これは無断転載に該当します。
無断転載も著作権の侵害にあたるので、スクショをするコンテンツは、明らかに著作者の意思のもとインターネット上で公開されているものを選びましょう。
違法にアップロードされた画像ではない
基本的にスクショは私的利用が目的なら違法になるケースは少ないですが、違法にアップロードされたものと知りながらスクショを撮った場合は、目的の関係なく撮っただけでも違法になります。
そもそも違法アップロードとは、著作者の許可なく多くのユーザーが無料で見られる状態で公開することをいいます。
例として多いのが漫画や映画の違法アップロードです。海賊行為ともいい、違法アップロード作品を扱うウェブサイトは海賊版サイトと呼ばれます。
アップロードした運営側はもちろんですが、スクショやダウンロードをした側も直接的ではないとはいえ共犯として罪に問われるので注意しましょう。
他人の著作物を引用する必然性がある
著作物のスクショが認められるのは私的利用であることが原則ですが、引用という形でコンテンツ作成に使用するのであれば適法になります。
ただし、引用するうえで守るべきルールが文化庁によって定められています。その1つが「他人の著作物を引用する必然性があること」です。
つまり、コンテンツ作成において引用が必要かつ正当な理由があることが求められます。
例えば、特定の食材について紹介するコンテンツを作成した場合、その食材のダイエット効果に触れるとします。
その根拠として外部サイトの研究データを引用することは、信頼性を高めるために必要なので引用する正当な理由です。
一方で、装飾を目的に外部サイトに掲載されたおしゃれな画像を引用するといった理由は、必要性を証明できないので認められません。
自分の著作物と引用部分とが区別されている
自分が書いた内容と、引用した内容がひと目でわかるように区別する必要があります。
区別されていないと、どこまでが引用かわからないので、場合によっては文章の盗用として扱われる可能性も。枠で囲うといった「ここからここまでが引用」とはっきりわかるような印をつけておきましょう。
また、引用した画像や文章に手を加えることは著作権の侵害に当たるのでこちらにも注意が必要です。
自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確である
主従関係というのは、要するに「メインは自分の著作物であり、引用部分はあくまで参考資料として掲載している」ということです。
主従関係を明確にする方法として、特別一筆添えたり注意書きをする必要はありません。
注意すべきは2つの文章量のバランス。自分が書いた部分よりも、引用部分のほうが多くコンテンツの内容を占めていると引用メインのコンテンツとなってしまい、主従関係が逆転してしまいます。
これでは引用という形が崩壊してしまうので、コンテンツ作成時には十分注意しましょう。
引用物の出典を明記する
引用物をどこから持ってきたかを必ず明記して共有しましょう。
特別なルールはありませんが、書き方として多いのが引用のすぐ下に「引用元:○○」とサイト・メディア名やURLを掲載する方法です。
引用元を記載することは、「こちらのサイトを参考にさせていただきました」という引用した外部サイトへの敬意を表す意味でも重要です。
改正著作権法で押さえておきたいポイント
2023年の6月に施行された改正著作権法において、スクショや違法アップロードについて以下のように記載されています。
参考:著作権法
スクショ自体を違法とするものではない
スクショは場合によっては違法になりますが、スクショの行為自体が違法になるわけではありません。
第30条1項では、スクショのように著作物を複製する行為は、私的使用を目的とする場合可能とされています。
ファッションや、日常生活の参考として自分で見るだけに留める場合であれば、スクショしても法的に問題はありません。
違法にアップロードされたコンテンツはすべてNG
私的利用を目的としたスクショは問題ありませんが、海賊版サイトに掲載されている、違法にアップロードされたコンテンツは私的利用であってもスクショをしたら罰せられます。
違法アップロードされた例として多いものに、漫画や映画などがあります。著作物を公開する権利は著作者にあるので、勝手に不特定多数の目に触れる場所で無断公開したものはすべて違法アップロードされたコンテンツです。
公開した側もスクショした側も同じく著作権を侵害したものとしてみなされるので、こうしたサイトを見つけてもスクショはせず、速やかに通報しましょう。
万が一、スクショを行ってしまい、後から違法アップロードのサイトだったと判明した場合は、著作権の侵害を広めないよう直ちに削除してください。
違法なスクショであっても「例外」が存在する
違法なスクショとされる場合であっても、なかには例外があります。
第30条1項第4号では、以下のようなケースに限り違法にはならないとされています。
- 著作物全体のわずかな一部分のみをスクショした場合
- スクショの画質が悪い場合
- 著作者の利益を害しない特別な事情がある場合
例えば、漫画やアニメのスクショを撮る場合、1コマやワンシーンのみといった軽微な部分をスクショする場合であればそこから作品の内容までを読み取ることは難しいので違法とされない場合があります。
また、著作者の利益を害しない場合というのは詐欺被害防止のためにはがきやDM・メールなどの内容をスクショしたり、漫画やアニメの二次創作品を二次創作者本人のアカウントやサイトからスクショしたりといった場合が該当します。
Webサイト自体も著作物になる?
スクショと切り離せない関係にあるのが著作物です。
では、コンテンツを公開するホームページまたはWebサイトも著作物となるのでしょうか?Webサイトと著作物の関係についてご紹介します。
著作物に該当するコンテンツ
そもそも、著作物の定義は「思想又は感情を独創的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と著作権法で定められています。
また、第10条第1項では著作物の種類として具体的な例とともに以下をあげています。
- 言語:小説、脚本や俳句など
- 音楽:楽曲、楽曲を伴う歌詞
- 舞踊・無言劇:バレエやダンスなどの振り付け
- 美術:絵画、漫画や彫刻など
- 建築:芸術的な建造物
- 地図・図形:建造物の設計図や模型など
- 映画:劇場用映画、ドラマ、アニメ、YouTube動画、ゲームソフトなど
- 写真:写真やグラビアなど
- プログラム:コンピュータ・プログラム
以下の記事では、記事の引用方法や著作物の基本ルールを解説しています。
サイトのレイアウトは著作権侵害の可能性は低い
第10条第1項で定められている著作物の種類のなかで、Webサイトに関係するものはコンピュータ・プログラムです。
サイトのレイアウトは、コンテンツを構成するための要素にすぎないので、基本的に著作権侵害となる可能性は低いといえます。
だからといって、そっくりそのまま自社サイトで真似をすると、違法行為とまではならなくても批判の対象になる場合も。明らかな真似サイトは読者からの信頼性が損なわれる可能性もあるので参考程度にとどめましょう。
ソースコードは著作物として認められない
ソースコードは、第10条第1項のプログラムの著作物に含まれるので、基本的に著作権保護の対象です。
ただし例外もあり、オリジナル性のない短く簡単なソースコードの場合は著作物として認められない場合があります。
さまざまなコードが組み合わされた複雑なコードの場合は著作物扱いになるので注意しましょう。個人の判断では難しい部分があるので、安易にコピーをして利用しないほうが無難です。
参考:著作権が制限されるのはどんな場合? | 公益社団法人著作権情報センター CRIC
スクショの著作権に関するよくある質問
難しい部分が多いスクショの著作権。スクショを使ってコンテンツ作成をしたい人のよくある質問を回答とあわせてご紹介します。
サービスの利用説明のためにスクショを加工するのは違法?
アカウントの作成方法や、サービスの申請方法などを説明するときにスクショ画像は大変便利です。そのため、使用目的が利用説明のためなど私的利用に該当しない場合、スクショした申請画面などを加工することは違法となるケースが少ないといえます。
ただし、著作権が加工した人に移るというわけではないので、自身が作成した画像として公開すると著作権侵害になる可能性があるので注意しましょう。
著作権法に違反するとどうなる?
著作権法で禁止されている行為をした場合、10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金に課せられます。
これは刑事上の罰であり、場合によっては民事で訴訟を起こされて多額の損害賠償を請求される場合も。著作権の所有者とのトラブルの原因にもなりえます。
また、違法アップロードと知りながらスクショやダウンロードをした場合、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金が課せられます。
法に触れると知らなかった場合でも適用されるので著作物の扱いには十分注意しましょう。
スクショは著作権法を理解して活用しよう
気軽に使用できる便利なスクショですが、著作権法を理解していないと罰則が課せられる場合があるので注意が必要です。
しかし、すべてのスクショが違反というわけではありません。使用目的が明確な私的利用であれば問題なく、引用という形ならコンテンツへの掲載も可能です。
ただし、違法アップロードサイトのスクショだった場合は、私的利用であろうとも著作権違反となり、引用もいくつかの条件に従う必要があることを理解しておきましょう。