本記事では、オウンドメディアをマネタイズしたいものの、自社サイトに適しているかわからない方に向けて、収益化モデルや注意点を解説していきます。
オウンドメディアをマネタイズするメリット・デメリットや、具体的な手順も解説しましたので、ぜひ最後までご覧ください。
オウンドメディアのマネタイズとは?
オウンドメディアのマネタイズについて、具体的な収益モデルの話をする前に、まず定義を確認しましょう。
そもそもオウンドメディアは、直接的なマネタイズを目的とするものではありません。
オウンドメディアの目的は認知度UPや見込み客の獲得であり、収益化はあくまで間接的なものです。
認知度がUPすればお問い合わせや採用数が上がり、事業貢献した結果として収益が出ます。
マネタイズが目的の商業メディアや、会社情報を記載するコーポレートサイトとは、まったく異なる立ち位置にあります。
自社サイトの戦略から外れないように設計をしっかり決めておき、そのうえでマネタイズしていくという意識を忘れないようにしましょう。
オウンドメディアのマネタイズ目的を確認したところで、実際にどのような収益化モデルがあるのかを見ていきます。
オウンドメディアの収益化モデル
オウンドメディアの収益化モデルは、大きく分けて下記のとおりです。
- 事業貢献による収益化モデル
- ブランディングによる収益化モデル
- 直接的な収益化モデル
事業貢献による収益化モデル
事業貢献による収益化モデルとは、事業の運営をしていくなかで間接的に発生する収益です。
- お問い合わせ件数や無料相談の増加
- メルマガ登録
- アカウント登録
- 販売
お問い合わせ件数や無料相談の増加
オウンドメディア運営により、お問い合わせ件数や無料相談が増加すれば、事業貢献となり収益につながります。
お問い合わせや無料相談を申し込むユーザーは興味関心が強いので、顧客になる可能性が高いです。
ユーザー満足度の高い情報提供で、顧客と信頼関係を築ければ、サービス導入の敷居が低くなり、再購入する可能性も高くなるでしょう。
そのためには質問や相談がしやすい環境づくりが必要なので、お問い合わせフォームの導線を確保し、手軽に入力できるようにしておきましょう。
オウンドメディア運営は、興味関心が強いユーザーをキャッチできる施策といえます。
メルマガ登録
オウンドメディアをきっかけとして、メルマガに登録してもらえば、見込み顧客へ継続的なアプローチができます。
メルマガは受信者に定期的に配信されるため、情報と接触する回数が多いです。
オウンドメディアからメルマガ登録へ促すメリットは、他にも下記のようなものがあります。
- セミナーへの誘導がしやすい
- オウンドメディアの補足や延長としても使える
例えば「TABI LABO」のメルマガでは、プレゼント企画やおすすめ記事のピックアップなどで、オウンドメディアを補完しています。
オウンドメディアとメルマガをセットで扱うには、登録するメリットを端的に示し、入力フォームまでの導線を短くすることが重要です。
また、メルマガ登録に対する不安を軽減させるため、配信解除のしやすさをアピールするのも効果的です。
オウンドメディア運営は、メルマガ登録とセットで使えば接触回数が増えるので、継続的に事業貢献できます。
アカウント登録
オウンドメディアからアカウント登録に流せれば、自社サービスを利用するステップが省け、ユーザー数UPにつながります。
サービス利用開始のハードルが下がるため、結果として事業貢献になるでしょう。
自社アプリのダウンロードや、LINE公式アカウントの登録なども該当します。
ベネフィットを示した文章の直下など、適切な位置にアカウント登録の導線を張り、ユーザーを取りこぼさないようにしましょう。
オウンドメディアでアカウント登録まで促進できれば、自社サービス利用ハードルが大きく下がります。
販売
オウンドメディアで自社商品の紹介ページを作れば、販売につなげられます。
資生堂のオウンドメディア「ワタシプラス」は、美容情報を発信しており、紹介しているアイテムはオンラインショップで購入できる仕組みです。
メイクやスキンケアの方法など、ユーザーへの情報提供で構成されているため、押しつけがましさなく、自然に導線が張られています。
ユーザーに有益な情報提供をすれば、自然に自社製品の販売を促進できます。
ブランディングによる収益化モデル
ブランディングによる収益化モデルは、大きく分けて下記の2つです。
- イメージを変える
- 指名検索数を増やす
イメージを変える
オウンドメディア運営で自社を適切にブランディングできれば、市場のイメージを変えられます。
ユーザーのイメージは購入数に直結する場合があり、ブランディングで変えられれば、今までにない層をターゲットにできるからです。
例えばカルビーは、手抜きイメージがあった「シリアル」を、健康的な印象の強い「フルグラ」に変えて市場へアプローチしました。
ヨーグルトを添える新しい食べ方も提案した結果、売上は30億から316億へと大きく進化しています。
また、制汗剤であるシーブリーズは、マリンスポーツの汗ケアから、部活後の消臭へ路線変更。
その結果、低迷期から売上を8倍へ伸ばしました。
ブランディングでイメージを変えるには、自社サービスの優位性からコンセプトを捉え直す必要があります。
オウンドメディア運営でブランディングできれば、ターゲットをまるごと変えられる可能性があり、新たな市場を開拓できるかもしれません。
指名検索数を増やす
オウンドメディアで認知度を上げれば、指名検索数が増える可能性があります。
指名検索するようなユーザーは、その企業に強い興味を持っており、利用を検討している可能性が高いため、成約率も上がります。
オウンドメディア運営中は、Googleトレンドで検索数の推移をチェックしておきましょう。
直接的な収益化モデル
オウンドメディアを運営する場合、基本的には自社サービスの販売・利用を促すことでマネタイズしますが、それ以外にも様々なマネタイズの手法があるので、ご紹介していきます。
- タイアップ広告
- SSP
- インフィード広告
- アフィリエイト
- 有料セミナーやイベントの開催
タイアップ広告
タイアップ広告とは、別名で記事広告とも呼ばれ、サービス・商品のPRとして記事を作成する手法です。
サービス元の企業から直接報酬をもらうため、PV数があれば安定した利益が見込めます。
タイアップ広告は元々ある記事に溶け込むので、広告を嫌うユーザーにも自然に読んでもらいやすいメリットがあります。
とはいえ、自社サービスとあまりに無関係だと、ユーザーから違和感を持たれてしまい、信頼度が下がるので要注意です。
SSP
SSPは「Supply Side Platform」の略で、ユーザー情報から広告が自動で表示される仕組みです。
オウンドメディア運営者は、広告主と直接的な契約手続きをせずに広告を貼れるので、手間がかかりません。
Google AdSenseが該当し、個人ブロガーから企業まで幅広いメディア運営者に利用されています。
配信する広告によって単価が変わりますが、目安としては1PVで0.3円前後であり、33万PVで月10万円の計算です。
ただし、広告内容がコントロールできないのがデメリット。
オウンドメディアのカラーと不一致になる場合があるため、独自性を大事にしたいときは控えましょう。
インフィード広告
インフィード広告とは、記事コンテンツと並列で表示される広告です。
コンテンツと同じ形式をとりながら、閲覧の邪魔をせず表示されるもので、Twitterの広告が該当します。
自然に馴染むため比較的閲覧されやすいですが、広告と認識せずクリックしたユーザーからは反感を買うこともあります。
アフィリエイト
アフィリエイトとは、ASPを通して広告を掲載し、成果に応じて報酬が発生する仕組みです。
ASPとは、アフィリエイトサービスプロバイダーの略で、広告主とメディア運営者の仲介役。
成果報酬型でありPV数は関係ないため、自社メディアにマッチした広告なら、報酬が発生するかもしれません。
しかし、アフィリエイト一色になると、自社メディアの認知度が上がらないので注意したいところです。
有料セミナーやイベントの開催
自社で開催する有料セミナーやイベントに誘導し、収益を得るのも選択肢の一つです。
参加費やアーカイブ動画、スポンサーからの広告費などが収益になります。
YouTubeやVoicyなどの無料コンテンツも多いなか、有料セミナーの開催は期待値も高まるため、価格以上の価値を提供する必要があります。
ユーザー満足度の高いノウハウを発信することが重要です。
オウンドメディアでマネタイズするメリット
オウンドメディアでマネタイズするメリットを押さえておけば、より効率的に運営していけます。
本記事では、オウンドメディアをマネタイズするメリットを下記の4つに絞りました。
- 見込み顧客の情報を獲得できる
- 購買層を拡大できる
- 広告費を削減できる
- 収益化の好循環が生まれる
見込み顧客の情報を獲得できる
オウンドメディアで見込み顧客の情報を獲得できれば、効率的な営業につながります。
ターゲットを取りこぼさないためリソースが無駄にならず、営業の勝率が上がるでしょう。
購買層を拡大できる
オウンドメディアは顕在層だけではなく潜在層にもアプローチできるため、購買層が拡大できます。
例えば資生堂による「ワタシプラス」では、メンズ向けに眉毛の手入れノウハウを解説しています。
昨今メンズメイクが流行しつつあるとはいえ、資生堂のアイテムを買い揃える男性はまだ多くないでしょう。
化粧品販売店を利用した経験がある男性は、全体の15%といわれています。
(参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構による市場調査データ「化粧品販売店」)
しかし、「ワタシプラス」を閲覧して興味が惹かれれば、今まで化粧品販売店と縁がなかったユーザーも、購買意欲が高まるかもしれません。
このようにオウンドメディアでの情報発信は、潜在層にも効果的なアプローチが可能です。
広告費を削減できる
オウンドメディアでマネタイズできるようになれば、広告費が削減できます。
マネタイズできるほどのオウンドメディアは、すでに高い集客力を持っているため、他媒体に出している広告費用が浮きます。
例えばリスティング広告なら、大手企業だと月に数千万から数億円の費用がかかることも珍しくありません。
オウンドメディア運営でマネタイズできれば、他媒体に出していた広告費用が浮き、コスト削減につながります。
収益化の好循環が生まれる
オウンドメディアでマネタイズできれば、収益化の好循環が生まれます。
- 質の高いコンテンツを発信する
- コンテンツの集客力が高まる
- マネタイズにつなげる
- 発生した収益でより質の高いコンテンツを作れる
収益化の好循環が生まれれば、オウンドメディアのユーザー満足度は上がり、より成長していけるでしょう。
オウンドメディアでマネタイズするデメリット
オウンドメディアでマネタイズするデメリットもありますので、詳しく見ていきましょう。
- 時間がかかる
- イメージダウンの可能性がある
時間がかかる
オウンドメディアでマネタイズするデメリットの一つは、時間がかかる点にあります。
マネタイズできるほど成長させるには、数ヶ月~1年程度の期間が必要です。
その間にオウンドメディアの運営費をまかなえなくなる可能性もあるため、長期的な戦略が不可欠といえます。
イメージダウンの可能性がある
オウンドメディアでマネタイズしようとするあまり、広告や宣伝を全面に出しすぎると、企業のイメージダウンにつながる恐れがあります。
多くのユーザーにとって、広告は欲しい情報そのものではなく、雑音であるケースがほとんどだからです。
自社の認知度UPやブランディングを目的にしているなら、マネタイズをメインにしないほうが良いでしょう。
とはいえ、オウンドメディアの運営はタダというわけにもいきませんから、可能な限りマネタイズしたい企業が多いと思います。
次の項目では、オウンドメディアのマネタイズに適している企業タイプを解説していきます。
オウンドメディアのマネタイズに適した・適さない企業タイプ
自社サイトがオウンドメディアのマネタイズに適しているかどうかは、おおむね目的で判断可能です。
適している企業タイプ | 適さない企業タイプ |
---|---|
PV数が多い | 求人が目的 |
リード獲得が目的 | ブランディングが目的 |
PV数が多く、リード獲得を目的としているオウンドメディアは、マネタイズに適しています。
広告収入を得るにはPV数が多いと有利であり、獲得したリードは事業貢献につながりやすいからです。
対して、求人やブランディングが目的である企業は、マネタイズに適していません。
自社の企業風土や独自性を訴求するべき場面で広告を出すと、ユーザーは違和感を覚え、離脱していきます。
下記の記事ではオウンドメディアの成功事例について解説していますので、ぜひご自身のケースに照らし合わせながらご覧ください。
★オウンドメディア 成功事例
オウンドメディアをマネタイズする手順
この項目では、オウンドメディアをマネタイズする具体的な手順を解説していきます。
- ペルソナを明確にする
- 自社サイトの目的から最適なマネタイズ方法を選択する
- 流入を増やす
- 回遊率を高める
- リピーターを増やす
- マネタイズまでの道筋を改善する
ペルソナを明確にする
オウンドメディアをマネタイズしたいなら、まずはペルソナを明確にしたうえで、適切なコンテンツを増やしていきましょう。
自社サイトが定めたペルソナ以外のユーザーを集客しても、目的は達成できません。
しかし、多くの企業がペルソナとは無関係のユーザーを集客しています。
オウンドメディアが提供する課題解決のコンテンツは、どんな人の役に立つのかを考えてみてください。
ペルソナの趣味や1日の過ごし方・悩みまで具体化して、実在している人間のようなプロフィールを作り上げます。
設定したペルソナからぶれないようにコンテンツを作成していけば、オウンドメディア全体に一貫性が生まれます。
成約につながるキーワードで記事を執筆する
成約につながるキーワードを見つけ、記事を執筆していきましょう。
いくらペルソナを集めても、成約に繋がらなければ意味がありません。
例えば太陽光発電を導入する事業を行っているなら、設置前の疑問に答える記事を増やしていくべきです。
太陽光発電を設置した後の疑問に関するコンテンツばかり充実させても、流入してきたユーザーからは成果が発生しません。
ただし、ユーザーの問題を解決するという意味では、そういったコンテンツが一定数は必要なのも事実。
コンテンツのバランスや順番を間違えないようにしていきましょう。
自社サイトの目的から最適なマネタイズ方法を選択する
自社サイトの目的から、最適なマネタイズ方法を選択しましょう。
目的によってはマネタイズすべきでない場合もあるため、慎重に判断してください。
例えば求人が目的なら、広告によるマネタイズとは合わないため、自社サービスの紹介程度にとどめます。
自身のサイトがマネタイズに適しているか判断できない場合は、上記の「オウンドメディアのマネタイズに適した・適さない企業タイプ」を参考にしてみてください。
流入を増やす
PV数UPを目指し、流入を増やす施策をおこないます。
アクセスが増えれば、広告収入が入りやすくなるため、マネタイズに有利です。
さらにユーザーの動きが計測できるようになるので、改善もしやすくなります。
広告やSNSで宣伝し、ペルソナを自社サイトに誘導しましょう。
回遊率を高める
流入が増えたあとは、回遊率を高めるステップに入ります。
サイトの回遊率が高いほど購入率も上がるため、結果としてファンになってもらいやすいです。
人気記事やおすすめ記事などへの動線を作り、ペルソナがサイトをくまなく回れるような設計にしましょう。
リピーターを増やす
リピーターを増やすために、ユーザー満足度の高いコンテンツに注力していきましょう。
ユーザーはリピーターの段階を経てファンへと成長し、継続的に利用してくれるようになります。
例えばApple製品には、Apple信者と呼ばれる熱烈なファンがついており、同社の製品でガジェットをそろえる傾向があります。
高価であっても、サービスや製品の質を信頼して購入してくれるApple信者の存在は、ファンの理想形といえるでしょう。
ユーザー満足度の高いコンテンツを発信していき、いつかファンになるかもしれないリピーターを増やしていきましょう。
マネタイズまでの道筋を改善する
マネタイズまでの道筋の改善も重要です。
面倒な入力フォームや、わかりにくいCTAボタンのせいで、獲得寸前のユーザーを取りこぼすケースがあります。
特にボイラープレートのCTAボタンは、クリック率が低いので、記事内で上手に訴求していく必要があります。
ボイラープレートとは共通要素を意味し、オウンドメディア上では記事下や1つ目の見出し上に表示されることが多いです。
内部リンクやCTAボタンの設置箇所を改善し、コンバージョンまで踏むステップを短くしていきましょう。
クリック率を高める活動を継続していけば、マネタイズできる確率は上がります。
オウンドメディアでマネタイズする注意点
この項目では、オウンドメディアをマネタイズする際の注意点について解説していきます。
ゴールを見誤って失敗しないために、ぜひチェックしてください。
本来の目的を見失わない
マネタイズを急ぐあまり、本来の目的を見失わないように注意しましょう。
多くのユーザーは広告を嫌うため、オウンドメディアからマネタイズの気配がすると、離脱してしまいがちです。
離脱率が高いオウンドメディアでは、ブランディングやリード獲得など、本来の目的が達成できなくなってしまいます。
つねに本来の目的を念頭に置き、不自然に売り込まないよう心がけましょう。
ユーザーのニーズを把握する
ユーザーのニーズを把握し、必要に応じてコンテンツを改善していきます。
ニーズと別の内容を提供すると、ユーザーの信頼が得られず、オウンドメディアは成長できません。
アンケートをとったり、ABテストをするなどして、PDCAを回していきましょう。
メディア運用のノウハウがいる
確実にマネタイズしようと思うなら、オウンドメディア運用のノウハウが必要です。
内部リンクの導線や最適なサイト設計など、専門知識が求められます。
自社における試行錯誤も大事ですが、回り道しないためには、SEO会社にコンサルティングを依頼するのも選択肢の一つです。
以下の記事では、SEO会社を選ぶポイントや注意点についてまとめていますので、あわせてご覧ください。
オウンドメディアのマネタイズまとめ
本記事ではオウンドメディアのマネタイズについて、収益化モデルやメリット・デメリットに触れながら解説してきました。
そもそもオウンドメディアとは、自社のブランディングやリード獲得を目的にしており、商業メディアとは異なる立ち位置にあります。
そのうえでマネタイズしていくなら、自社webサイトの目的や戦略からぶれる恐れがないか確認し、最適な方法を選択していきましょう。
広告費の削減や購買層の拡大など、メリットも多いオウンドメディアですが、確実にマネタイズしていくなら専門知識が必要です。
かけられる予算と期間のバランスを見ながら、オウンドメディアを制作していきましょう。