企業のオウンドメディアなどのWebサイトを運用している方なら、SEO対策には「サジェストキーワード」「関連キーワード」「共起語(きょうきご)」が重要だと聞いたことがあるのではないでしょうか?
しかし、それぞれがどういうものかまでは、あまり知られていません。
今回は、3つの中でも特に分かりにくい「共起語」について、詳しく解説します。
コンテンツマーケティングにとって重要とされている共起語とはどういうものか、サジェストキーワードや関連キーワードとの違い、共起語の調べ方から使用にあたっての注意点などを理解して、効果的なSEO対策に役立ててください。
共起語とは?
ユーザーがあるテーマについて調べるとき、検索ツールにキーワードを入力すると、関連性の高いサイトがたくさん表示されます。
それらのサイトの中で、調べたいキーワードについて書かれた文章やその近くの文章で使われやすい語句が共起語です。
Googleなどの検索エンジンは、そのコンテンツが有益かどうかを判断するために、文中でよく使われているキーワードとその周辺の共起語を特定して記事の内容を把握します。
別々のサイトで同じ語句がたくさん使われていれば、その語句(共起語)は、ユーザーが求める情報にとって欠かせない重要な語句と認識される仕組みです。
そして、共起語が適切に含まれているコンテンツは、ユーザーの抱える課題や悩みを解決するための有益な情報が網羅的に書かれていると判断され、検索結果の上位に表示されることにつながるのです。
例えば「ダイエット」というキーワードでは、以下の共起語が多く使われています。
- 健康
- 食事
- 運動
- 体重
- 効果
つまり「ダイエット」に関するコンテンツで、上記のような共起語を適切に交えて説明されていれば、検索エンジンに「これは有益なサイト」だと判断されるというわけです。
共起語とサジェストキーワードの違い
「共起語」と似た用語に「サジェストキーワード」があります。
検索窓にメインとなるキーワードを入れると、その後ろに幾つかのワードが表示されるのを見たことがあるのではないでしょうか?それがサジェストキーワードです。
例えば「ダイエット」を検索すると、以下のように表示されます。
この場合、メインキーワードである「ダイエット」の後ろに表示されている「食事」「レシピ」「サプリ」などがサジェストキーワードになります。
共起語が、あるキーワードを説明する際の文中によく使われる語句であるのに対して、サジェストキーワードは、メインとなるキーワードを検索するときに、一緒に組み合わせて検索されることが多いキーワード。
検索エンジンが、「ほかのユーザーは、この言葉も一緒に検索していますよ」と提案(サジェスト)してくれているキーワードなので、検索ユーザーのニーズを反映していると考えられます。
そのため、サジェストキーワードを意識して書かれているコンテンツはユーザー満足度が高いと評価されます。
共起語と関連キーワードの違い
同様に「関連キーワード」も「共起語」と混同されやすい用語の一つ。
Googleで検索すると、表示画面の横や下部に以下のような表示を見たことありませんか?
ここに表示されているのが「関連キーワード」で、調べたいキーワードに関連するワードです。
検索したユーザーが再検索した時に入力されることが多いワードも、ここに表示されます。
例えば「ダイエット」で検索すると、検索エンジンは過去の事例から「ユーザーは、こういうことを知りたいのではないか?」と連想してここに表示する仕組みです。
先のサジェストキーワードも関連キーワードもユーザーの検索意図を反映したワードなので、コンテンツ設計での大きな指針となります。
一方、共起語は、実際のライティング時に役立つ語句群のことです。
共起語を意識するSEO効果とメリット
では、共起語を意識してコンテンツを作ることが、SEO施策としてどういう効果やメリットがあるのでしょうか?
実は共起語が適切に利用されているコンテンツは、検索エンジンとユーザーの両方に対して大きくアピールできるのです。
SEOに強い記事になる
検索エンジンは、情報の網羅性や専門性、権威性が高いコンテンツを「ユーザーの検索意図にマッチした内容になっている」として高く評価し、検索結果の上位に表示する傾向があります。
そして情報の網羅性や専門性が高いコンテンツは、結果的に共起語の使用率も高くなります。
つまり、共起語を数多く使ったライティングを意識すれば、情報の網羅性が高く、SEOに強い良質なコンテンツに仕上げることができるのです。
ユーザーの満足度が上がる
共起語はユーザーの課題や悩みを解決するコンテンツで多く使われている語句です。
そのため共起語を適切に、かつ数多く使った記事は、ユーザーが求める情報を多く含むことになり、満足度も上がります。
その結果、コンテンツの滞在時間が長くなり、検索エンジンの評価が高まり、検索結果上位に表示される可能性も高くなるというメリットがあります。
記事作成時に共起語を活用するメリット
どれほど優れた内容が書かれたWebサイトでも、検索結果の上位に表示されなければ読んでもらうことはできません。
上位表示させるためのSEO施策の一つは、読者満足度の高い記事を書くことです。
自分だけの考えや予想、思い込みで記事を書いても満足度の高い内容にはなりません。
読者のニーズを分析し、的確な情報を網羅的に書くことでSEOに強いコンテンツを作ることができるのです。
そこで役に立つのが共起語の活用です。
検索意図のヒントが掴める
共起語を分析すればユーザーの検索意図を掴むことも可能です。
例えばメインキーワードが「ダイエット」の場合、共起語として「健康」「食事」「運動」などが挙げられます。
これらから推測すると、「ダイエットに関するコンテンツでは、ただ痩せるだけでなく、食事と運動とで健康に気を配りながらのダイエット」が検索したユーザーのニーズだと見て取れます。
検索意図を把握することは、コンテンツ制作ではとても重要です。
共起語は、その検索意図を探るためのヒントとして非常に役立つツールなのです。
コンテンツの質を高めやすくなる
検索エンジンは質の高いコンテンツを見極めるために、そのサイトの有益性や網羅性、さらには読みやすさなどを重視する傾向があります。
質の高いコンテンツは、検索意図に沿った役立つ情報を網羅しているため、ユーザーがほかのサイトに行って情報を調べ直す必要がなくなるからです。
その見極めの基準の一つとされているのが共起語の使われ方です。
狙ったキーワードに対する共起語が含まれる記事を意識することで、結果的に読みやすく、適切な情報が網羅された、質の高いコンテンツ作成につながります。
共起語の変化で修正ポイントが把握できる
ネット上の情報は常に新しく入れ替わるもの。検索エンジンも古い情報よりも、新しい情報を質の高いコンテンツだと判断します。
コンテンツを作るときには検索結果1位だった最新の競合サイトも、いつの間にか順位が入れ替わってしまい、それに伴い共起語も変わってしまうことに。
共起語が変わったということは、ユーザーのニーズやコンテンツの内容が変わったことを意味します。
定期的に共起語に変化がないかを確認することで、コンテンツの修正ポイントを把握でき、常に最新の情報を提供することができるのです。
共起語の調べ方
コンテンツのSEOに大きな影響を与える共起語ですが、調べるのは簡単です。
検索上位の記事を調べる
狙ったキーワードで検索して、上位表示された10サイトのタイトルや大見出し、中見出しに含まれている語句を調べることで、ざっくりした共起語を割り出すことができます。
さらに詳細な共起語を調べるためには、上位コンテンツをすべて読む必要がありますが、それには大変な時間がかかるうえ、漏れが生じてしまう可能性が高くなります。
共起語を速く正確に分析したい場合は、ツールを使って調べるのが一般的です。
ツールでキーワードを抽出する
無料で共起語を調べるツールはいろいろと公開されています。いずれもキーワードを入力するだけで、上位サイトで使われている共起語をすぐに抽出してくれます。
ただし取得できるのは単語だけなので、どういう状況や文脈で共起語が使われているかを分析するためには、実際に各サイトを訪れて調べなければいけません。
「ダイエット」の共起語として抽出された語句でも、サイトに行ってみるとペットのダイエットだったり、中年男性専門のダイエットだったりと、自社のコンテンツとは関係のない共起語の可能性もあるからです。
おすすめの無料で利用できる共起語ツール3選
それでは、誰でも簡単に使える人気の高い共起語ツールを3つ紹介しましょう。
それぞれ特徴があり、どれも無料のサービスなので実際に試してみてください。
共起語検索
Googleでキーワード検索した時に表示される上位30サイトから共起語と出現回数を抽出してくれます。
会員登録も使用回数の制限もないので気軽に使うことができて、初めてでも簡単です。
参考リンク:共起語検索
ラッコキーワード
検索窓にキーワードを入力すると、Google、Bing、YouTubeのほかAmazonや楽天などの共起語を調べることができ、結果をCSVデータとしてダウンロードできます。
また検索結果上位20サイトの中で、共起語がどこで何回使われているかまで教えてくれるためとても便利です。
共起語以外にもサジェストキーワードや関連キーワード、月間検索数なども調べることができます。
フリープラン(無料)と有料プランがあり、フリープランで共起語を調べる場合は1日15回まで利用可能。
フリープランは登録不要で使えます。
参考リンク:ラッコキーワード
サクラサクラボ共起語調査ツール
GoogleやYahoo!の検索上位ページから共起語を取得でき、結果をCSV形式でダウンロードも可能。
共起語だけでなく、キーワード調査や関連語、上位サイト分析などSEO対策に役立つ機能もあります。
無料会員登録が必要。
参考リンク:サクラサクラボSEOツール 共起語調査ツール
記事のランクが上がる共起語の使い方
ユーザーの検索意図がある程度反映された共起語ですが、やみくもに共起語を盛り込んだ記事を書いてもコンテンツの質は上がりません。
記事のランクをアップさせる共起語の効果的な使い方を解説しましょう。
網羅性のあるコンテンツに仕上げる
SEOに有利なコンテンツを作るためには、情報の「網羅性」が大切です。広範囲にわたる情報が盛り込まれたコンテンツには、読者が知りたい内容が多く含まれていると判断されるからです。
一つのコンテンツを作る時にはメインとなるキーワードを設定し、そのキーワードに関する網羅的な情報を盛り込むことで、検索上位に表示される可能性が高まります。
その際、役に立つのが共起語です。調べた共起語を分析し、どういう情報が必要なのかを把握したうえでコンテンツの構成を考えます。
その構成をベースに、共起語を織り交ぜながら自然な流れで分かりやすい記事を書くことで、網羅性の高いコンテンツに仕上がるのです。
検索ニーズに対して不足している情報を追加する
公開したコンテンツが検索結果の上位に表示されない場合、何らかの情報が欠けている可能性があります。
その場合、自社のコンテンツと上位表示されているコンテンツとを見比べて、足りない情報がないかを確認してみるといいでしょう。
足りない情報を調べるためにはツールを使って共起語をチェックするのが速くて確実。もし自社サイトで漏れている共起語があれば、情報を追加してリライトすることでコンテンツの質を高めることができます。
共起語を使用する際の注意点
共起語はユーザーの検索意図を反映した語句であり、「共起語」そのものの意味を知りたいわけではありません。
あくまでもライティングのヒントであり、使い方を間違えればかえってコンテンツの質を落とす可能性もあるので注意が必要です。
詰め込みすぎはコンテンツに悪影響がある
とにかく共起語をたくさん詰め込んだ記事を書けば網羅性を担保でき、検索ニーズを満たすという考えは間違いです。
不自然に共起語を詰め込んだ記事は冗長で読みにくく、本来伝えるべき情報が曖昧になってしまい読者離れの原因となるため、SEOにも悪い影響を与えてしまいます。
使うべき共起語を分析し、コンテンツの内容に合わせて適切に盛り込んでいくことが大切です。
ユーザー視点を大切にする
共起語は質の高い記事を書くための手段であって、共起語を記事に盛り込むことが目的ではありません。
コンテンツの基本的な目的はユーザーが必要としている情報を細大漏らさず、丁寧に、分かりやすく伝えること。そのユーザーの視点を把握するために参考になるのが共起語なのです。
本来なら共起語を知らなくても、検索結果上位サイトを分析し、ユーザーの視点に立ったコンテンツを作れば自然と共起語が含まれているはず。
しかし、共起語を使うことを意識するあまり、記事に一貫性がない不親切で分かりにくい内容になってしまっては本末転倒です。
共起語はユーザーに役立つ情報を伝えるための参考ツールだと理解しましょう。
共起語だけでコンテンツ制作しない
新規でコンテンツを作る場合や既存コンテンツを改善するときに、共起語だけを参考にするのは危険です。
質の高いコンテンツを作るためには、共起語のほかにサジェストキーワードや関連キーワード、さらに競合サイトで書かれている情報などさまざまな角度から分析することが重要です。
そのうえで、共起語を適切に数多く含んだ文章を書くことを意識してください。
共起語を理解してコンテンツの専門性を高めよう
共起語は読者の悩みや疑問を解決する重要な情報が何かを教えてくれる重要なヒントです。
有効に活用すれば、質の高いコンテンツ作りに役立ちます。
しかし、とにかく数多くの共起語を使おうとして無理やり記事の中に詰め込んでしまうと、コンテンツの質を下げてしまいます。
コンテンツの目的は共起語を使うことではなく、ユーザーに役立つ情報を伝えること。ユーザーが求めている情報が何かを分析し、網羅性、専門性の高いコンテンツ作りのために、共起語を役立ててください。