本記事では、オウンドメディアの成果を計測する方法がよく分からない方に向けて、費用対効果を解説していきます。
利益以外で費用対効果を計測する方法や、向上させるためのポイントについてもお伝えしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
オウンドメディアの費用対効果とは?
まず初めに、費用対効果というワードの意味について、詳しく見ていきましょう。
費用対効果とは、かけた費用に対して得られた効果を指し、コストパフォーマンスとも呼ばれます。
コスパという言葉は、一般ユーザーにも広く使われていますので、耳馴染みが良いのではないでしょうか。
費用対効果については、下記の数式で算出します。
費用対効果=利益÷費用
とはいえ、オウンドメディア運営においては、目的によって何を利益とするか変動します。
費用対効果と投資対効果の違い
費用対効果とよく似た単語として、投資対効果というワードがあるため、混乱してしまう方も多いでしょう。
投資対効果とは、投資に対して得られた効果。「Return On Investment」から「ROI」とも呼ばれます。
費用対効果と投資対効果を厳密に分けるのは難しいですが、本記事では下記のように定義しました。
項目 | 費用対効果 | 投資対効果 |
---|---|---|
目的 | 短期的な回収 | 中長期的な回収 |
具体例 | 人件費 | 貢献度 |
短期的な回収が目的となる費用対効果は、費用の投入を停止すると効果も途切れてしまいます。
例えば自社の社員にかかる人件費は、労働力を得るための費用といえるでしょう。
対して、中長期的な回収が目的である投資対効果では、費用の投入を停止しても、将来的には効果が返ってきます。
自社の社員がスキルアップして、人件費以上の事業貢献をしてくれたとすれば、投資対効果があったといえるはずです。
もしくは、社員が独立して退職したとしても、在職時の仕事がその後も利益を出し続けていれば、投資対効果があったといえるでしょう。
このように、人件費という同じ項目に注目した場合でも、費用と投資のどちらであるのかはケースによって異なります。
中長期的な運営が求められるオウンドメディアについては、厳密には投資対効果の面が大きいですが、本記事では認知度の高いワードである費用対効果として解説していきます。
オウンドメディアの効果が高い理由
オウンドメディアは間接的に事業貢献するコンテンツのため、費用対効果が計測しづらいです。
ただ、成功しているオウンドメディアは、高い効果を上げているのも事実。
この項目では、オウンドメディアの効果が高いといえる理由について解説していきます。
- 集客が継続的
- 見込み客やファンの育成
- コンテンツの資産化
集客が継続的
オウンドメディアは広告によって掲載されるものではないので、集客が継続的に行えます。
検索結果で上位表示できれば、掲載期間が決まっている広告より、継続的にユーザーと接点を持てるでしょう。
見込み客やファンの育成
カスタマージャーニーに沿った情報をオウンドメディアで提供できれば、見込み客やファンを育成できます。
専門性の高い情報提供により信頼度がUPし、購入や申込みがしてもらいやすくなるためです。
見込み顧客やファンの育成が自動化できれば営業活動の短縮につながり、事業全体の費用対効果が高まるでしょう。
コンテンツの資産化
オウンドメディアは広告やメルマガと異なり、過去のコンテンツが蓄積していくため、自社の資産となります。
作成したコンテンツは営業資料やSNSにも転用できるので、他分野の集客力や魅力を底上げすることが可能です。
オウンドメディアの費用対効果を計測する方法
オウンドメディアの費用対効果は、売上だけ見ていても計測できません。
費用対効果の計測方法について、下記の4つを紹介していきます。
- 売上
- リード獲得
- ブランディング
- 採用
売上での費用対効果
売上での費用対効果については、下記の方法で計算できます。
ROI(投資利益率)=利益÷投資額×100
ROIを求める例を挙げてみましょう。
オウンドメディアを制作するのに投じた金額が100万円で、利益が200万円だった場合、ROIは200%となります。
この場合はプラスの数字になっているので費用対効果が高いといえますが、オウンドメディアから生じた利益を特定するのは困難であるため、厳密な計算は難しいです。
リード獲得での費用対効果
リード獲得での費用対効果については、下記の方法で計算できます。
CPL(リード獲得単価)=リード獲得にかけた費用÷リード獲得数
CPLについては、オウンドメディアと他の広告を比較すると分かりやすいでしょう。
項目 | オウンドメディア | 広告A |
---|---|---|
費用 | 150万円 | 500万円 |
リード獲得数 | 500件 | 1,000件 |
CPL | 3,000円/件 | 5,000円/件 |
このように比較すると、顧客獲得単価はオウンドメディアのほうが2,000円安いので、広告Aより費用対効果が高いといえます。
ブランディングでの費用対効果
ブランディングや認知度向上における費用対効果は、利益を数値化できないため、下記のような指標を用います。
- アクセス数
- セッション数
- PV数
- SNSコメント数
- SNSシェア数
例えば、SNSシェア数を用いて費用対効果を検証すると、下記のような比較が可能です。
項目 | ライターA | ライターB |
---|---|---|
SNSシェア数 | 150回 | 100回 |
執筆記事数 | 10記事 | 10記事 |
ライターAの書いた記事のほうがSNSシェア数が多いので、費用対効果も高いといえるでしょう。
採用での費用対効果
採用における費用対効果も、ブランディングと同じく、利益を数値化できません。
そのため、費用対効果の指標としては下記の内容を用います。
- 応募者数
- 説明会の申し込み数
- 内定辞退数
- 離職率
項目 | オウンドメディア | 採用サイト |
---|---|---|
応募者数 | 20人 | 20人 |
費用 | 50万円 | 100万円 |
この場合は応募者数は同じであっても、かけた費用が少ないため、オウンドメディアの費用対効果が高いといえます。
オウンドメディアを利益以外で計測する指標については、下記の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
オウンドメディアの費用対効果を向上させる方法
オウンドメディアの費用対効果を計測したあとは、改善して向上させていきたいところ。
この項目では、オウンドメディアの費用対効果を向上させる方法として、下記の5つを解説していきます。
- コストを抑える
- SEO対策を継続する
- ユーザーの心理に寄り添う
- コンバージョンを上げる
- 業務を自動化する
コストを抑える
オウンドメディアの費用対効果を向上させるには、コストを抑えることが重要です。
とはいえ、ただ運用コストを削るのではなく、同じ生産性を維持しなければ費用対効果は高まりません。効率よくクオリティーを上げる方法を見つけていきましょう。
例えばユーザーの反応が良い記事から成功パターンを見つけ出し、他の記事に展開していくと、効率よくクオリティーを上げられます。
また、ゼロからコンテンツを作り出そうとするのではなく、自社とは関係ない業種のオウンドメディアのコンテンツの切り口を参考にしたり、かけ合わせてみたりすると、試行錯誤の期間を短縮できるでしょう。
コストを抑えるという制限付きの状況下で、同じ生産性をキープするために工夫してみましょう。
オウンドメディアの構築費用については、下記の記事で解説していますので、コストを抑える参考にしてください。
SEO対策を継続する
オウンドメディアで効果を出すためには、SEO対策の継続が重要です。
検索エンジンに上位表示されるまでは時間がかかるため、2~3年は継続し、改善と施策の実行を繰り返します。
とはいえ、新規サイトを1年以上続けても上位表示される記事が少ないのであれば、分析と改善が上手くいっていない可能性があります。
必要に応じて、制作会社やコンサルティングなどプロの手を借り、確実な施策を実行していきましょう。
ユーザーの心理に寄り添う
ユーザーの心理に寄り添うオウンドメディアを展開すると、Googleにも評価されやすくなります。
読者の体験を最適化する対策は「SXO対策」とも呼ばれ、近年注目を集めているほどです。
ユーザーの疑問や悩みという潜在ニーズを、ピンポイントに拾って解決する記事作成が求められています。
★検索 意図 考え方
また、どれほど価値あるコンテンツを発信していたとしても、ユーザビリティが悪ければ、ユーザーに寄り添っているとはいえません。
ユーザーの検索行動を最適化するために、オウンドメディアを整備することも重要です。
- スマホ表示に対応させる
- 表示速度を最適化する
- SSL化でセキュリティー対策をする
特に表示速度は遅くなるほどユーザーの離脱率が上がるため、計測したうえで改善しておきましょう。
コンバージョンを上げる
オウンドメディアのコンバージョンが上がれば、費用対効果も向上します。
せっかくユーザーに満足してもらえるコンテンツを提供できているのに、コンバージョンの導線が整備されていなければ、オウンドメディアの効果は上げられません。
- お問い合わせフォームの入力を簡単にする
- 導線を分かりやすくする
- CTAのデザインに限定感を出す
オウンドメディアの目的を達成するために、ユーザーにしてほしい行動を明確にしましょう。
業務を自動化する
オウンドメディアの費用対効果をUPさせたいなら、業務の自動化を検討するのも有効です。
近年では、RPAを活用してマーケティングを自動化する企業も増えています。
RPAとは、「Robotic Process Automation」の略。
ロボットが定型業務を自動で実行してくれるシステム。
RPAを活用すれば、今まで担当者が行ってきた定型業務が格段に短縮できるでしょう。
マーケティングの分野におけるRPAの活用事例は下記のとおりです。
- 競合他社サービスの価格調査
- アンケート集計やデータ管理
- 複数のシステムを活用したレポートの作成
- SNS上の口コミ収集
- KPIの進捗管理
オウンドメディアの作業を自動化すれば、ヒューマンエラーを防止しつつ、担当者のリソースを別業務に充てられるようになるでしょう。
オウンドメディアの費用対効果まとめ
本記事では、オウンドメディアの費用対効果について、計測方法や向上させるポイントをお伝えしてきました。
オウンドメディアの費用対効果は、運営目的によって利益では計算できない場合があります。
訪問者数やSNSシェア数など、利益以外の指標も用いて費用対効果を計測してください。
オウンドメディアの費用対効果を向上させるには、コストの削減やコンバージョンのUPが重要です。
マーケティングに必要な作業を自動化できるロボットも登場していますので、必要に応じて取り入れてみてください。