「ず」と「づ」の使い分けのルールを説明できる人は多くないのではないでしょうか。
本記事では、「ず」と「づ」の適切な使い分け方、その歴史的背景、そしてよく間違えられる表記について解説します。
これを通じて「ず」と「づ」の使い方を明確に理解し、適切に使いこなせるようになりましょう。
「ず」と「づ」の違いと使い分け方
現在の日本語では「ず」と「づ」は、現代仮名遣いや発音が同じであるという理由から区別せず、「ず」を使うのが普通です。
以下では、「ず」と「づ」の違いと使い分け方について解説していきます。
原則「ず」を使用する
「ず」と「づ」は読み方は同じ発音になりますが、現代日本語では「ず」の使用が基本です。「づ」を使用するケースはあまりありません。そのため、迷ったら「ず」を使うのがおすすめです。
この規則性は、1937年の「訓令式仮名遣い」によって確立されました。この規則により、「ず」は広く使用され、一部の例外を除いて「づ」の使用が限定されています。
両者の区別は基本的に歴史的な由来や形態論的な理由によるものです。
それでは、「づ」を使うのが一般的である場合とは、どのような場合のことを言うのでしょうか。
以下では、原則として「づ」を利用する場合について、具体例を挙げながら解説していきます。
同音の連呼によって生じた「づ」
同じ音が続く場合、「ず」が「づ」に変わることがあります。これは連濁と呼ばれる現象で、特に助詞の「つ」が「ず」になった後、「づ」に変化するケースが挙げられるでしょう。
たとえば、つづく(続く)、つづる(綴る)つづみ(鼓)、つづら(葛籠)などがこの例です。これらの単語では、「つ」と「ず」の連続した音が「づ」に融合しています。
2語の連合の濁りによって生じた「づ」
2つ以上の単語を合わせて、別の一つの語を形作ったものである複合語を形成する際に、前の語の最後が子音で、次の語が「す」で始まる場合、連濁(音が濁る現象)により「ず」が「づ」になることがあります。
みかづき(三日月)、たけづつ(竹筒)、たづな(手綱)、こづつみ(小包)、おこづかい(小遣)などがその例です。
2語に分解しづらい場合は「ず」を使う
一方、以下で説明するような場合には、「づ」を使わずに「ず」を使うのが一般的です。
「づ」が連濁の結果であることが明確に分かる場合や、複合語を2語に分解するのが容易でない場合を除いては、基本的に「ず」が使用されます。
「ずぼん(ズボン)」「いなずま(稲妻)」「つまずく(躓く)」などがその一例です。
これらの語は、一見複合語に見えても実際には一語として確立している単語であることから、「ず」が使われます。
音読みで元々濁っている場合は「ず」を使う
さらに、音読みで元々濁音(つまり「ず」の音)が含まれる単語では、「ず」を使用するのが一般的です。
たとえば、 ずが(図画)、りゃくず(略図)などが挙げられるでしょう。
これらの単語は漢字から派生した語で、元々「ず」の音が含まれているため、「ず」を使用します。
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「づ」は許容されている場合がある
現在日本語においては「ず」が原則であるものの、「づ」の使用が許容されているケースがあります。
「づ」の使用が許容されているケースとは、「固有名詞」「表現手段」「外来語」のケースです。
固有名詞
固有名詞は特定の地名や人名を表すものであり、「づ」を含むものが存在しています。
「づ」が用いられる理由は方言や歴史的背景、音韻など、さまざまな要因が関わっているのが普通です。
たとえば、静岡県にある地名には、多くの「づ」が残っているところがあります。
焼津(やいづ)、沼津(ぬまづ)、河津(かわづ)といった「津」の地名は、「づ」と読むのが一般的です。ただし、滋賀県にある西津(にしつ)については、「づ」とは読みません。
このように、合理的な理由はないものの、地名には慣習的に「づ」を利用する場合があります。
地名以外にも人名を表す場合には、「づ」の使用が許容されているのが特徴です。
人名に使われる場合は、単に「ず」よりも「づ」の方が見た目が可愛いからなど、名付けた人の嗜好が反映されているケースが少なくありません。
たとえば、「あづさ」「みづほ」などのように「づ」が使用されている場合があります。
たとえ間違った表記がされていても、意味は同じ考えてよいでしょう。しかし、ビジネスの現場でも間違って表記していると失礼に当たる場合があるので注意してください。
表現手段
文芸作品や歌詞、詩などの表現手段として「づ」が使用されることもあります。
これは韻を踏むため、または特定の感情や雰囲気を表現するためです。特に古文や和歌などでは、「づ」の使用が見受けられます。
このような創作活動においては言葉の使い方のルールが柔軟に適用されて、「づ」の使用も許容される傾向です。
外来語
「づ」は外来語の表記においても見受けられます。
一部の外来語は「づ」を含む音を持つため、それらの表現に「づ」が使用されることがありますが、これは原語の発音を可能な限り忠実に表現するためです。
韓国語(朝鮮語)では、発音を忠実に表現するのであれば、「づ」を使用します。
たとえば、韓国発祥の食べ物である「チヂミ」は「チジミ」とは表記せず、「チヂミ」と表記するのが普通です。
また、韓国語の人名では、慣用として「ず」が使われていますが、金正恩(キム・ジョンウン)ではなく、キム・ヅョンウン、チェ・ジウではなく、チェ・ヅウと表記した方が韓国語に忠実な発音が可能となります。
「ず」と「づ」でよく迷う言葉
「ず」と「づ」の使い分けは基本的に明確に決まっていますが、迷いやすい言葉として以下のような言葉があります。
まず、原則として「づ」を使う言葉としては、「あいづち(相づち)」「かねづる(金づる)」「ことばづかい(言葉遣い)」「ことづて(言づて)」「たづな(手綱)」「にいづま(新妻)」「みかづき(三日月)」などがあります。
これらは、「づ」が続けて現れることによる連濁や二つの言葉の連合による濁りなど、特定の条件下で「づ」を用いるのが特徴です。
一方、原則として「ず」を使う言葉としては、「いたずら」「いなずま(稲妻)」「うずく」「うなずく」「きずく(築く)」「…ずく(腕ずく、納得ずくなど)」「…ずくめ(面白ずくめ、結構ずくめなど)」「…ずつ(少しずつ、1人ずつなど)」「つまずく」「てなずける(手なずける)」「ゆうずう(融通)」「わずかに」「わずらわしい(煩わしい)」などがあります。これらの単語は「ず」を使用するのが基本です。
これらの例からわかるように、「ず」と「づ」の使い分けは、それぞれの単語の音韻構造や由来によります。そのため、迷う場合は単語の由来や音韻構造を確認するとよいでしょう。
四つ仮名とは?
四つ仮名とは、日本語の仮名文字で、「じ」「ぢ」「ず」「づ」の4文字を指します。
これらの文字は、古代の日本語では異なる発音を表していましたが、現代日本語では基本的に同じ音を表すようになりました。
なぜこのような変化が起こったのか、それは日本語の音韻体系の歴史的な変化と深く関連しています。
「四つ仮名」が存在する理由
四つ仮名の存在は、それぞれがかつて異なる音を表現していた時代の名残りです。
「じ」と「ぢ」は、もともとそれぞれ「以」と「知」から派生した音で、同様に「ず」と「づ」は「須」と「都」から派生した音でした。
これらの発音の違いは、特に古典文学の朗読や、一部の方言を話す地域では重要な役割を果たします。
また、さまざまな言葉の音韻変化の歴史を考える上でも、「じ」「ぢ」「ず」「づ」の存在は非常に価値のあるものです。
発音が同じになった理由
発音の同化は、中世日本語の頃から進行しており、特に都市部を中心に発音が合流する傾向が見られました。
それにより、時代が下るにつれて「じ」と「ぢ」、そして「ず」と「づ」の発音の違いは薄れていきます。
明治時代に入ると、教育の場でも「じ」と「ぢ」、「ず」と「づ」の発音の違いは基本的に教えられなくなり、一般的にこれらの発音は同じになりました。
結果として「ぢ」と「づ」の表記は、限られた条件下、例えば連濁など特定の文脈でのみ使われ、それ以外の場合では、「じ」と「ず」が一般的に使われるようになります。
「ず」と「づ」の違いを理解して上手に使い分けしよう
本記事では、「ず」と「づ」の違いとその使い方について詳しく解説しました。これらは日本語の「四つ仮名」の一部で、現代仮名遣いでは基本的に同じ発音です。
しかし、一部の例外や特例、特に連濁や連呼、連合などの場合には、「づ」が使用されることがあります。
文章の校正や仕事、学校の教育、ビジネス、生活、社会などで日本語を使う際には、正しい仮名遣いが求められるでしょう。
それは、言葉の意味を明確に伝えるため、読み手の理解を深めるため、そして正確な表現をするためです。ここで紹介したルールと例文を活用して、正しい仮名遣いを身につけることをおすすめします。
この記事を読み終えたあなたは、言葉を使い分ける基準、単語の由来や漢字との関連など、仮名遣いの基本を理解することができたことでしょう。
特に、「づつ」や「づめ」などの単語を例に、「ず」と「づ」の適切な使い方を学ぶことで、混乱せずにこれらの仮名を使用することができます。
「ず」と「づ」の違いを理解し、正しく使い分けることは、日本語の表現力を向上させ、文章の品質を高めるために重要です。これからも、この記事の内容を参考にして、日本語の学習を深めていきましょう。