文章は単に情報を伝えるだけでなく、読者に対するメッセージを明確にする手段でもあります。
そのためには、文章を流暢にし、読者が理解しやすくするための句読点の正しい使い方が不可欠です。
この記事では、句読点の基本的なルール、いわゆる「テンマルルール」から読み手が文章を楽に読むためのポイントまで、さまざまな角度から句読点の使い方を詳しく解説します。
一貫した句読点の使い方は、文章の品質を大幅に向上させ、劇的に読みやすくすることが可能です。
そもそも句読点とは
句読点は文章を書く上で、必ず使用するものです。しかし「句読点とは」と問われると「学校で勉強して以来、考えたこともない」知識かもしれません。日頃から文章の作成に慣れていても、あらためて「句読点とは」と問われると、戸惑う方もいるのではないでしょうか。
ここでは句読点について概要を解説します。
どっちが句点・読点?
句点と読点、句読点の違いを確認しましょう。
- 句点(くてん)…「。」のこと 文章の終わりに使用する
- 読点(とうてん)…「、」のこと 文章の途中に使用する
- 句読点(くとうてん)…句点と読点の総称
句点は文章のまとまりを示す役割を持ちます。読点は文章を読みやすく、分かりやすくするために用います。いずれも文章を書くときには必須です。
文章が読みやすくなる句読点の打ち方
プロのライターや新聞記者などは、文章の読みやすさを最大限に引き出すために、一文の文字数を52文字程度、一文当たりの読点の数を約1.5個とするのが一般的な目安です。
これは、読者が文章をスムーズに読むことを可能にし、情報の理解を助けます。
例えば、「句読点(くとうてん)は、文章の終わりや意味の区切りに打ち、文章を読みやすく理解しやすくする記号です。」という文は、50文字であり読点は2つです。
このように句読点を適切に使用することで、文章にリズムを付け、読み手の理解を深めることができます。
ただし、読みやすさを保つためには、一文が長すぎないことと、読点を過度に使わないことが重要です。
一文が長すぎると読者は情報を把握するのが難しくなり、読点が多すぎると文章の流れが乱れ、読みにくくなります。
したがって、「一文一義」の原則を意識し、それぞれの文が一つの主要な情報または思考を伝えるようにすることが重要です。
次に、より詳細なルールを理解するために、句点「。」の打ち方のルールを確認していきましょう。
句点の打ち方ルール
句点は、文の終了を明確に示すための重要な記号で、それは一連の思考が完結したことを示します。句点を適切な位置に配置することは、文章全体の流れと明瞭さを保つために非常に重要です。
しかし、適切な句点の打ち方は時として混乱を招くかもしれません。ここでは、「」の末尾で打たない、!や?の後に打たない、といった句点の打ち方の基本的なルールについて詳しく説明します。
文章の最後に打つ
大原則として、文章の最後には句点を打ちます。
例文
私は毎朝6時に起きます。
文末に注釈のマルカッコ(以下、「()」)がある場合も、原則として()の後ろに句点を打ちます。この場合、()内に句点は打ちません。
例文
私は毎朝6時に起きます(寝坊する日もあるが)。
引用元や出典を示す()の場合は、()の前に句点を打ちます。
例文
「句読点の打ち方」講座は参考になりました。(20代・男性・会社員)
上記については「文末に句点を打つ」ほどの明確なルールではありません。引用の場合でも句点を()の後ろに打つほうがよいとする意見もあるため、会社や所属団体のマニュアルやルールに従いましょう。
「」の末尾で打たない
日本語の文章で引用符「」を使用する場合、その末尾には通常句点は打ちません。その理由は、引用部分が常に完全な文であるわけではなく、時には全体の一部を形成するためです。
例えば、「彼は”こんにちは”と言いました。」という文では、”こんにちは”の直後に句点を打つのではなく、全体の文が終わるところ、つまり閉じ引用符の前に句点を打ちます。
これにより、引用部分と全体の文が適切に区切られます。
!や?でのあとに打たない
感嘆符「!」や疑問符「?」の直後に句点「。」を打つことは通常ありません。その理由は、これらの記号自体がすでに文の終了を示しているからです。
例えば、「彼は驚いた!」や「それは本当にあったのか?」のような文では、文末の感嘆符や疑問符自体が文の終わりを表しています。
そのため、その後にさらに句点を打つ必要はありません。これらのルールを守ることで、読者は文の終わりと新しい文の始まりを明確に理解できます。
句点をつけない文章もある
以下の文章は句点をつけないとされています。
- 箇条書き
- 文章の件名や表題
- 挨拶状
箇条書きは名詞で終わることが多いですが、文章形式の箇条書きは句点を使用します。最近では、横書きの挨拶状では、わかりやすさを重視して句読点を用いる場合もあるようです。
読点の打ち方ルール
読点(とうてん)は、文章における情報の流れを区切り、新たな文の開始を告げる目印です。
文脈の途中で区切りを付けることで、読者に対してその部分での思考や意図が完結したことを伝え、文全体の理解を助けます。
さらに、読点は文章にリズムを与え、読み手にとっての可読性を高めることも役割の一つです。
しかし、これらの役割を効果的に果たすためには、読点の適切な打ち方を理解することが必要でしょう。
ここでは、読点の打ち方に関する具体的なルールと使用例を紹介します。
息継ぎするタイミング
読点は、自然な話し言葉のリズムを文章に反映する役割も果たします。
そのため、読点は口頭で話すときに自然と息を吸うタイミングに合わせて打つとよいでしょう。このルールは、読者にとって文の意味を明確に伝え、流れをスムーズにする助けになります。
例えば、「おいしい食事、楽しい会話、それが理想のディナーです」のように使用すると、各事象の終わりと新たな事象の始まりを明示し、文を自然に読み進めることが可能です。
接続詞・接続助詞のあと
接続詞や接続助詞の後には、しばしば読点を置くことが推奨されます。これは、前後の文の関連性や流れを明確にするルールです。
例えば、「しかし、その計画は成功しなかった」や「だから、彼はその道を選んだ」のように、接続詞や接続助詞の後に読点を打つことで、文脈の変化や進行を明示できます。
長い主語・目的語・述語の後
長い主語、目的語、述語の後には、読点を打つと読みやすさが向上するでしょう。
例えば、「世界中を旅した私が見つけた、最も美しい場所はここだった」のように、主語が長い場合や、「彼が描いた、幸せな家族の絵は、心に響くものがあった」のように、目的語や述語が長い場合に読点を使用します。
この読点の使用により、長いフレーズが一部の文節として分けられ、文全体の理解が容易になるでしょう。
漢字・ひらがなが連続している
漢字やひらがなが連続していると、読みづらさを感じる読者もいるかもしれません。
そのため、適度に読点を挿入することで、全体の読みやすさを維持することが重要です。「雨降り空気湿度高め、外出を控えて過ごす」のように、文字の種類が変わる箇所や、意味の切れ目に読点を打つことで、文章がより見やすく、理解しやすくなります。
並列している語句がある
語句が並列している場合には、それぞれの間に読点を打つことで、文節の区切りを示し、リスト化し、情報を明確に伝えることが可能です。
「彼は、優しく、勇敢で、賢い」のように、並列の語句を列挙する際には、読点を挿入します。これにより、各要素が別個の情報であることを強調し、全体の構造を明確に示すことができるでしょう。
「てにをは」を省略するとき
一部の文体では、助詞「てにをは」を省略し、読みやすさを重視しますが、その際読点を打つことで文節の区切りを示し、意味の理解を助けます。
「山登り、楽しい」のように助詞を省略した表現では、読点を打つことで文節の区切りを明示することにより、文全体の理解を助けることにつながるでしょう。
引用範囲を明確にするとき
引用文を使用する際、その範囲を明確に示すために読点を使います。
「彼は、「世界は広い」と言った」のように、引用部の始まりと終わりに読点を打つことで、引用範囲を明確に示すことが可能です。
これにより、引用と非引用部分の区別がはっきりとし、誤解を避けることができます。
強調で使われることもある
読点は、特定の文節や単語を強調するために使われることもあります。
「あなた、だけが信じられる」のように、強調したい部分の前後に読点を打つと、その部分が特別であることを読者に印象付け、強調したい内容を強く伝えることが可能です。
このように、読点は単なる区切り記号以上の役割を果たし、文章の意味や感情を深く伝えるツールとなります。
文章を強調するには、括弧(かっこ)などの強調記号をうまく使う方法もあります。以下の記事では効果的な使い方を詳しく解説していますので、参考にしてください。
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読点を上手に使うコツ
読点は、文章を理解しやすくしたり、文の意味を強調したりするための重要なツールです。
それはまた、言葉の流れを制御し、文章をリズミカルにしたり、文脈の変化を示したりするためにも使用されることが少なくありません。
以下では、読点をより効果的に使う書き方のコツについて説明します。
原因と結果を読点で明確にする
読点は、原因と結果の関係性を明確に表現するのに有効です。
「疲れていた、だから早く寝た。」のように、原因(「疲れていた」)と結果(「だから早く寝た」)の間に読点を置くことで、その関係性を強調し、明確に伝えることができます。
逆説の内容をわかりやすくする
逆説の表現も、読点の使用でわかりやすくなります。
「彼は若い、しかし経験豊富だ。」のように、一見矛盾している事柄を表現する際に、読点を使って両者を区別すると、その逆説的な意味合いが読み手に明確に伝わるでしょう。
直前の言葉がかからないことを示す
読点は、直前の言葉が後続の内容にかからないことを示すのにも使用することが少なくありません。
「子供たちは、楽しそうに公園で遊んでいる。」のように、読点を置くことで「子供たちは楽しそうに」という表現が、「公園で遊んでいる」に直接かかっていないことを示します。
修飾関係を明確にする
読点は、文中の修飾関係を明確にするためにも使われます。「彼女は、優しくて、思いやりのある人です。」のように、読点を使って修飾する言葉や句を区切ると、その修飾の範囲や内容が明確になり、読みやすい文となるでしょう。
文脈が変わるタイミングで打つ
話題が変わる、あるいは新しい情報が出てきた場合、読点を置くことで文脈の変化を示すことができます。
「昨日は雨だった、しかし今日は晴れている。」のように、読点を打つことで前後の文脈が変わるタイミングを読者に示すことが可能です。
読点を打つときの注意点
読点を使用する際には、その位置や頻度が文章の理解に影響を与えるため、適切な使用が求められます。
一部のケースでは、読点を打つことは避けるべきです。以下では、文章の書き方において読点を打つときのいくつかの注意点について説明します。
主語が短いときに打たない
主語が短い場合、読点を打つと文の流れが不自然になることがあります。
「彼は、学生です。」のような文章では、「彼は学生です。」と読点なしで書いた方が自然です。
主語が短くてその後がすぐに続く場合、読点は不要であり、逆に読みにくさを引き起こすことがあります。
「」の前後に打たない
引用符「」の前後には、原則として読点を打たないのが一般的です。
「彼は、「こんにちは」と言った。」のような文章では、引用符の前後に読点を打つと、文章が不自然に見えることがあります。
不自然な文章
「彼は、「こんにちは。」と言った。」
自然な文章
「彼は、「こんにちは」と言った。」
引用の範囲が明確であるため、そこに読点を打つ必要は基本的にありません。
読点が多すぎるとNGな理由
読点は文章のリズムを整えるための重要なツールであり、文の構造を明確にする助けとなります。
しかし、読点が多すぎると、その効果は逆に働き、文章の理解を難しくする可能性があるでしょう。以下に、読点が多すぎると問題となる主な理由を二つ述べます。
誤読されやすくなる
読点が多すぎると、文の意味が曖昧になり誤解を招くことがあるでしょう。
「私、は、学生、です。」のように、必要以上に読点が含まれると、一つ一つの文節が分離し、文全体の流れが分断されます。
その結果、読み手は一つ一つの単語や句を個別に理解しようとするため、全体の意味を把握することが難しくなるでしょう。
文字を追う目の動きを妨げる
読点が多すぎると、読者の視線の流れが不自然になります。これは特に速読を行う際に問題となるでしょう。
読点は視線の一時停止を意味するため、それが頻繁に現れると、視線が文章をスムーズに追うことが困難になります。その結果、読解速度が遅くなり、理解力も低下する可能性があるでしょう。
Webメディアでは、読みやすく分かりやすい文章が好まれます。Webメディアに掲載する文章は「じっくり読ませる」よりも「視覚的・感覚的に分かりやすい文章」を意識して執筆しましょう。Webライティングの基本ルールや注意点について、以下の記事にまとめています。分かりやすい文章を書けるようになりたい人は必見です。
読点が多くなるときの対処法
読点が多い文章は読み手にとって混乱を招き、理解を妨げる可能性があります。しかし、適切な対処法を用いれば、この問題を解消することが可能です。
ここでは、読点が多くなるときの対処法として、一文を短くする方法と語順を変える方法を提案します。
一文を短くする
一文が長いと、自然と読点の数も増えてしまいます。この問題を解決するためには、一つの長い文を複数の短い文に分割することが有効です。
例えば、「私は学校に行き、友人に会い、一緒に昼食を食べました。」を「私は学校に行きました。友人に会いました。一緒に昼食を食べました。」と短く分割することで、読点の数を減らすことができます。
語順を変える
読点が多くなるもう一つの原因は語順です。不自然な語順は、文節と文節の間に読点を入れる必要性を生み出します。
語順を変えることで、これを解決することが可能です。
例えば、「私は、友人に会うために、学校に行きました。」を、「友人に会うため、私は学校に行きました。」とすることで、読点の使用を減らすことができます。
ツールで確認する
校正ツールで読点の使いすぎを確認することもできます。
AIが文章校正をしてくれる「Shodo」は、文中に読点が4つ以上ある場合に指摘をしてくれる、おすすめのツールです。ただし指摘されるのは数のみで、文章表現として適切な読点の場所までは指摘できないため、人の目でのチェックは必要です。
参考:無料で使えるAI校正ツール – Shodo(ショドー)
適切に読点が使われている文章例
例文を用いて、適切な読点の使い方を確認しましょう。
NGな文章
多くの、文章に触れ、読点が、多い、文章は、読みにくい、と、感じました。
上記の文章は少し読みにくい印象を拭えません。
読点を調整した文章がこちらです。
OKな文章
多くの文章に触れ、読点が多い文章は、読みにくいと感じました。
読点を見直すと、文章が読みやすくなります。
考えながら文章を書くと読点が多くなる傾向にあるため、文章を書いたら必ず読み返すようにしましょう。
句読点に関するよくある質問
句読点の使い方は、文章の理解度や読みやすさに大きな影響を与えます。
しかし、その使い方については、時として混乱を招くこともあるでしょう。以下に、句読点に関するよくある質問とその答えを提供します。
句読点ルールは公用文でも同じ?
一般的に句読点のルールは、公用文でも同様に適用されます。
しかし、公用文ではより形式的であることが求められるため、適切な場所に句読点を置くことがより重要です。
また、公用文では読点よりも句点を多用する傾向があり、一つの事項ごとに一つの文を作成することが推奨されています。
以前は、横書き公用文の読点はコンマ(,)を使うよう定められていましたが、2022年1月11日の閣議において、「公用文作成の考え方(文化審議会建議)」解説にのっとって、横書き公用文でも原則的に読点を使用することとなりました。
(1)句読点や括弧の使い方 ア 句点には「。」(マル)読点には「、」(テン)を用いることを原則とする。横書きでは、読点に「,」(コンマ)を用いてもよい。ただし、一つの文書内でどちらかに統一する。
文化庁|「公用文作成の考え方(文化審議会建議)」解説
区別がつかない句点と読点の覚え方は?
句点「。」と読点「、」の違いを覚えるための一つの方法は、それぞれの用途を理解することです。句点は文の終わりを示し、新たな文の始まりを告げることが役割です。
一方、読点は一つの文の中で、情報を区切る役割を果たします。
このように、それぞれの役割を理解できれば、句点と読点の使い方を区別することが可能です。
「また」や「ために」などの後ろに読点は必要?
「また」などの接続詞や「ために」などの文章をつなぐ単語の後ろには、読点を打つことが推奨されています。
ただ、表記上の絶対的なルールではなく、状況に応じた使い分けが求められます。文章のバランスや読みやすさを考慮して、適切に読点を使用しましょう。
句読点は読者への思いやりをもって打とう
句読点は文章作成の基礎であり、その使い方はライティングのクオリティに大きく影響します。
一文を適切な長さに保ち、意味を的確に区切ることで、読者は内容を理解しやすくなるでしょう。
主語や述語、接続詞の後に読点を置くルールは、文章が持つリズムを作り出し、誤解や誤読を防ぎ、文末の句点は文章の最後を明示します。
webでのライティングやブログなどのコンテンツ制作、仕事のメールなどにおいても句読点の役割は変わりません。この技術を活用し、読者のために語句の連続を適切に区切ることで、文書は劇的に読みやすくなります。
句読点は、ライターから読者への思いやりの表現とも言えるでしょう。句読点の使い方一つで、記事の読了率も変わってきますので、本記事で知識を深めていただけると幸いです。