「話し言葉」と「書き言葉」の違いとは?文章の品質を確実に上げる正しい使い分けスキル

「話し言葉」や「書き言葉」は、普段何気なく使えていることも多いでしょう。

ビジネスシーンではお客様のメールでかしこまった文章を作成しますが、実際の会話で同じように話す方はいません。

本記事では、話し言葉と書き言葉の違いを中心に、正しく使い分ける方法を基礎から解説します。

文章の品質をあげることはSEO対策としても有効なので、オウンドメディアやブログなどのライティングでお悩みの方は、ぜひチェックしてみてください。

目次

話し言葉と書き言葉の違い

私たちが日常的に使っている言葉には「話し言葉」と「書き言葉」の大きく2種類が存在します。

話し言葉と書き言葉の違いや、それぞれの特徴やポイントを詳しく見ていきましょう。

話し言葉の特徴と具体例

話し言葉とは、普段の会話でよく用いられる言語のこと。別称では「口語」とも呼ばれます。

聞き手側にとっては理解しやすく、親しみを感じやすいのが特徴です。話し手側にとっても、スムーズなコミュニケーションを進めるための手段としてカジュアルに使えます。

話し言葉の具体例としては「やっぱり」「もっと」「どうして」などの単語がわかりやすいでしょう。

相手に伝えることを重視しているため、文法にはあまりこだわりません。省略したり方言を使ったり、くだけた表現になるのが一般的です。

書き言葉の特徴と具体例

書き言葉とは、主に文章を書くときに用いられる言語のこと。別称では「文語」とも呼ばれます。

読み手側にとっては、少し堅苦しく理解に時間がかかることもあるのが特徴です。読み手が限定されない書籍や新聞のほか、ビジネスシーンでもよく使われます。

書き言葉の具体例としては「やはり」「さらに」「なぜ」などがわかりやすいでしょう。

正確な情報を伝えることを重視しているため、文法に忠実で丁寧な表現になるのが一般的です。

シーンによって適切な言葉とは

「話し言葉は会話、書き言葉は文章」というのは一般的な認識ではありますが、絶対的なルールではありません。

話し言葉や書き言葉を使用する適切なシーンについて、具体的に説明します。

話し言葉を使用するシーン

話し言葉は、主に親しみをもってほしい場面で使用するのが有効です。

一般的には、個人運用のブログ・SNS、エッセイ、プライベートでの会話やメールなどで使われることが多いでしょう。

企業のオウンドメディアやブログ、SNSなどでは基本的に書き言葉が推奨されていますが、読者が明確である場合はあえて話し言葉を用いるのもよいでしょう。

たとえば、20代~30代の女性をターゲットにしたファッション・コスメのコンテンツでは、ビジネス文書のような堅苦しい文語はミスマッチです。話し言葉を多めに使用することで、読者が理解しやすく、ブランドをより身近に感じさせる効果も期待できます。

書き言葉を使用するシーン

書き言葉は、主に公の場で正確な情報を伝えたいシーンで使用しましょう。

書き言葉は、方言や流行語などを除外し、決められたルールに従って用いられます。そのため、誰が読んでも理解でき、誤解を与える心配もまずありません。

一般的には、企業が運営するメディア、新聞、論文などの執筆で使われることが多いでしょう。

マイナスな言い方をすると「堅い」あるいは「冷たい」表現と捉えられやすいので、扱う分野に合わせて取捨選択が必要です。

よく間違える話し言葉と書き言葉一覧

混同しやすい話し言葉と書き言葉を、一覧で確認してみましょう。

話し言葉書き言葉
一応念のため
さっき先ほど
ちょっと少ない
すみません申し訳ございません
問題ないです問題ありません
すごいとても・すばらしい・非常に
ちゃんときちんと
でも・~けどしかし・だが
~じゃない~ではない
いっぱい多く
もっとさらに
やっとようやく
ちゃんときちんと・正しく
いつも常に
どうしてなぜ
こんな・そんな・あんなこのような・そのような・あのような
こんなに・そんなに・あんなにこれほど・それほど・あれほど
~から~ため
ですから・だからそのため・したがって

「ですから」など丁寧な言い方に見える言葉でも、実は話し言葉に分類されることもあります。

また「やっと→ようやく」「いつも→常に」など、とっさに書き言葉を思いつくのが難しい単語もありますね。

です・ます調は原則話し言葉

「~です」「~ます」は、よくオフィシャルな文章にも使われていますが、実は話し言葉に分類される言語です。です・ます調を用いた丁寧な文体は「敬体」と呼ばれます。

書き言葉では「~だ」「~である」といった表現が正しいとされています。だ・である調を用いた文体は「常体」と呼ばれます。

しかし、です・ます調(敬体)を用いていても、必ず文章全体が話し言葉と言い切れるわけではありません。

下記の例文をご覧ください。

例1.今日は気温が38度もあるけれども、夏休みの子どもたちは暑い中、ラジオ体操に通っている。保護者達は熱中症対策に気を抜けないだろうね。

例2.今日は気温が38度もありますけれども、夏休みの子どもたちは暑い中、ラジオ体操に通っています。保護者達は熱中症対策に気を抜けないでしょうね。

例1はだ・である調(常体)を用いていますが、例2よりもくだけた印象を受けるでしょう。

です・ます調は丁寧さを出したいとき、だ・である調はより堅い表現を使いたいときなど、スタイルによる違いも認識しておきましょう。

文法上の間違い

話し言葉・書き言葉にあわせて覚えておきたいのが、正しい文法です。

いくら文語でかっちりとした文章を書いていても、文法上のミスがあれば読者の信頼を損ねる原因になりかねません。

文章に関するルールはさまざまですが、そのなかでも誤用の多い以下6つのケースを紹介します。

「ら」抜き言葉

「ら」抜き言葉とは、可能を意味する動詞「られる」から「ら」を抜いた言葉。たとえば「見られる」「来られる」を「見れる」「来れる」と表します。

「ら」抜き言葉は、文書やビジネスシーンでは使わないようにしましょう。文法的に誤った表現なので、読み手側が文章の意味を正しく理解できない可能性があるためです。

文化庁が平成27年度に実施した調査によると「どちらの言い方を普通使うか」という問いに対して、下記2問で「ら」抜き言葉を選ぶ割合が上回っています。

・「見れた」が48.4%、「見られた」が44.6%→「見られた」が正しい表現

・「出れる?」が45.1%、「出られる?」が44.3%→「出られる?」が正しい表現

世間的には浸透している「ら」抜き言葉ですが、使用するのは近しい人との会話にとどめておきましょう。

参考:「国語に関する世論調査」の結果について|文化庁

「い」抜き言葉

「い」抜き言葉とは、本来入れるべき「い」を省いた言葉です。

「い」抜き言葉の例を、下記にまとめました。

正しい言葉「い」抜き言葉
歌っている歌ってる
走っています走ってます
話しています話してます
やっていないやってない
入っていない入ってない
痩せてきている痩せてきてる
休んでいます休んでます

「い」抜き言葉は、日常的に使う方も多い言葉ですが、文法的には誤りです。

文書やビジネスシーンなど、公的な使用は避けましょう。

「さ」入れ言葉

「さ」入れ言葉とは、本来入れない箇所に「さ」を加える言葉です。

「さ」入れ言葉の例を、下記にまとめました。

正しい言葉「さ」入れ言葉
読ませていただきます読まさせていただきます
書かせていただきます書かさせていただきます
遊ばせてもらいます遊ばさせてもらいます
手伝わせてください手伝わさせてください
終わらせていただきます終わらさせていただきます
休ませていただきます休まさせていただきます
伺わせていただきます伺わさせていただきます

上記のように、一見丁寧に見える表現ではありますが、文法的には誤りです。

「~せていただく」「~させていただく」のどちらが正しいかは、文章が成り立つか否かで判断できます。

たとえば「検討させていただく」から「さ」を抜くと「検討せていただく」になるため「~させていただく」という表現が正しいとわかりますね。

「れ」足す言葉

「ら」抜き言葉ほど知名度はありませんが、「れ」足す言葉も誤った文法として広まっています。

「れ」足す言葉は、可能を表す「~できる」に「れ」を加えた言葉です。

「れ」足す言葉の例を、下記にまとめました。

正しい言葉「れ」足す言葉
行ける行けれる
読める読めれる
書ける書けれる
飲める飲めれる
出せる出せれる

岡山など一部の地域では方言として使われることもありますが、一般的には誤用と見られてしまうため、使い方には注意が必要です。

文頭の「なので」

「なので」は、文章の前後を繋げる接続詞であるため、文頭では使えません。

例文で正しい使い方をチェックしてみましょう。

・私は数学が得意です。なので、理数系の授業を選択します。→誤った使い方

・私は数学が得意なので、理数系の授業を選択します。→正しい使い方

文頭で前後の話しを繋げたいときは「そこで」「だから」などで対応しましょう。

・私は数学が得意です。そこで、理数系の授業を選択することにしました。

・私は数学が得意です。だから、理数系の授業を選択します。

並列の「~たり」を省略

並列の「~たり」は、1文で2回入れるのが正しい使い方です。

「仕事で評価されるために、勉強したりスキルの習得に力を入れた」といったように、2回目の「~たり」を省略する文章は誤りです。

「勉強する」「スキルを習得する」は、並列の関係にあります。並列を表す「~たり」は、1つの動作ごとにつけるのが正しい使い方であるため「仕事で評価されるために、勉強したりスキルの習得に力を入れたりした」が正解です。

混同しやすいのが、1つの例をあげてほかにも同じ事例があることを表す「~たり」。たとえば「うちの犬は突然飛び跳ねたりして、かなりやんちゃだ」といった文章では、2回使う必要はありません。

書き言葉で避ける表現

書き言葉を用いる際、話し言葉よりも丁寧に書こうと意気込むことも多いでしょう。

それゆえに、長文で意味が伝わりにくい文章になってしまうことがあります。

正しい文法でわかりやすい文章を作成するためにも、以下5つの避けるべき表現をおさえておきましょう。

冗長表現

冗長表現とは、不要な語句・表現が入っており、無駄に長文で読みづらい文章になっている状態を指します。

丁寧な文章を書こうとするときほど、冗長表現を使ってしまいがちです。特に、Webサイトに載せる文章であれば、意味が伝わりやすいよう無駄のない簡潔な文章を心掛けましょう。

主な冗長表現と修正例は、以下のとおりです。

・「することができる」→「できる」

・「活用したいものである」→「活用したい」

・「先生の受け持っているプログラミングの講座」→「先生が受け持っているプログラミング講座」

基本的に長文は避け、一文一義になるよう心掛けましょう。

二重表現

二重表現とは、同じ意味の語句を繰り返す表現のことです。

会話のなかで意図的に強調したいときに用いられることはありますが、文書やフォーマルな場では使わないようにしましょう。

主な二重表現と修正例は、以下のとおりです。

・「一番最初に」→「一番に」「最初に」

・「後で後悔する」→「後悔する」

・「違和感を感じる」→「違和感がある」

・「まず最初に」→「まず」「最初に」

・「お体ご自愛ください」→「ご自愛ください」

・「一番ベスト」→「一番」「ベスト」

わかりにくいものは無意識で使ってしまうこともあるでしょう。間違いやすいものは、リスト化しておくことをおすすめします。

消極的表現

消極的表現は「~みたいな」「~たり」「~かな」など、明言を避けたいときに用いる言語。

話し言葉として使う分にはよいですが、書き言葉としては避けるべき表現です。「この情報は本当に合ってるの?」と読者に不信感を与える原因にもなりやすいので、言い切る文章に改善しましょう。

・「漫画は〇月〇日に発売されるみたいです」→「漫画は〇月〇日に発売されます」

・「副詞がなくても意味は伝わったりします」→「副詞がなくても意味は伝わります」

・「覚えておいたほうがよいのかなと思います」→「覚えておきましょう」

若者言葉

「まじ」「超」「めちゃめちゃ」など、主に若者が使う言葉も、書き言葉としては不適切です。

また「全然大丈夫」「全然おいしい」なども若者の間で使われることが多いですが、基本的に「全然」のうしろには否定的な表現が入ります。

主な若者言葉と修正例は、以下のとおりです。

・「超うまいお取り寄せ商品を見つけました」→「絶品のお取り寄せ商品を見つけました」

・「全然大丈夫です」→「問題ありません」

書き言葉は不特定多数に見られることを前提としているため、年齢問わず理解しやすい表現が望ましいですね。

「~になります」などの不要な文言

「~になります」は、丁寧な言葉として用いられることが多いですが、誤った使い方です。

「~になります」は変化を表す言葉なので「オタマジャクシはカエルになります」といった使用方法が適切です。

「~になります」の誤った表現と修正例を見ていきましょう。

・「○○円のお返しになります」→「○○円のお返しです」

・「コーヒーになります」→「コーヒーでございます」

文書やビジネスシーンでも、敬語として誤用しないように注意しましょう。

Webライティングでは読みやすさが重要視されるため、紙媒体とは違うWebライティング独特のルールがあります。以下の記事ではWebライティングの基本ルールについて解説しています。ぜひご覧になってください。

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話し言葉を書き言葉に直す方法

会議や取材などの音声をテキスト化したり、作成した記事のチェック・修正をしたりすることが課題となることもあるでしょう。

話し言葉を書き言葉に直すには、主に以下3つの方法があります。

変換アプリでチェックする

音声を効率よく書き言葉に直すには、変換アプリの利用をおすすめします。

変換アプリは、スマホなどから音声を認識して、自動で文字起こしをしてくれるツールです。

企業向けの本格的なサービスから、個人向けの無料アプリもあるので、用途に合わせてチェックしてみてください。

独自のチェックリストを作成する

Web上の記事やライティングに関する書籍には、話し言葉・書き言葉の一覧を掲載しているものもあります。

少し地道な作業ではありますが、混同しやすいものをピックアップしてチェックリストを作成するのもよいでしょう。

また、類語検索によって語彙力をトレーニングするのも有効です。語彙が少ないと話し言葉を多用しがちですが、オフィシャルで使える用語を多く習得することで、自然と書き言葉が使えるようになるでしょう。

手作業で直していく

社内で校正担当がいるなら、作成した記事を添削してもらいましょう。

ライターのみで校正できる方がいない場合は、クラウドソーシングを利用して外注するのも手です。

有料にはなりますが、正式な文書を作成する際などは、専門スキルのある方に依頼できる安心感があります。

2つの言葉の違いを理解して文章を組み立てよう

私たちが普段使っている言葉には「話し言葉」「書き言葉」の大きく2種類があります。

会話で使われるのが「話し言葉(口語)」、文章に用いるのが「書き言葉(文語)」というのが基本ではありますが、絶対的なルールではありません。シーンによっては文書のなかで話し言葉を使ったり、その逆もあります。

目的によって話し言葉と書き言葉のどちらが適切なのかは変わるので、まずは両方の特徴や違いを理解して、適切な文章作成を心掛けましょう。

記事スナイパーはオウンドメディア構築の経験も豊富。

ただ記事を大量生産するだけではなく、マーケティング分析とSEOの知見をかけ合わせ、ターゲットに「刺さる」オウンドメディアの構築をおこないます。

もちろん、記事執筆のご依頼もお受けしますので、1記事からでもご相談ください。

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